著者前書きにこうあります。
思い出というと、一般的に、これまで経験した出来事などが、深く心に残っていて、走馬灯のように繰り返し回転する事柄をいいますが、私の思い出はそうしたものではなく、あっちにひとつ、こっちにも、ひとつ、とはっきりしない、ばらけては消えていく、ちぎれ雲なのです。
そこで、十代の頃から各雑誌などに載せていただいた詩や短文、随筆などの断片的なちぎれ雲のかたまりを寄せ集め、足りないところを書き足したのが本書です。(中略)八十代になって自分の続けてきたことをまとめておかなければ、という焦りか、それとも単なるあつかましさか分かりませんが、ともかく勝手につくってしまいました。
十代のナイーブさ溢れる詩から、私が読ませていただき今年の「こあじろの森くらぶ通信」に掲載された植物エッセイまでが収められています。
須田さんのお姿を思い出しながら、大切に読んでいます。ご恵贈くださったご遺族に御礼申し上げます。