共通テーマ「坂」「砕く」でTが書いた詩を投稿します。
時の棲む場所
坂を下りる時
転ぶから と手をつないでも
二才の君はふりほどいて
いつも走り出した
スピードが出ておもしろいのだ
幾度転んでも笑って起き上がった
あの頃 私達の前には打ち砕くものは
何一つなく
一日は君の笑い声の中で過ぎていた
きょう久しぶりの坂の傾斜に驚きながら
夫と二人注意深く歩いた
君は今 社会のただ中を走っている
私達のうしろには
砕け散ったたくさんの残骸が落ちている
それらは風に吹かれ やがて
塵となって消えてしまうだろう
坂の下には
四十年前に住んでいたアパートが今も建っていて
きちんと使われていた
時の棲む場所
坂を下りる時
転ぶから と手をつないでも
二才の君はふりほどいて
いつも走り出した
スピードが出ておもしろいのだ
幾度転んでも笑って起き上がった
あの頃 私達の前には打ち砕くものは
何一つなく
一日は君の笑い声の中で過ぎていた
きょう久しぶりの坂の傾斜に驚きながら
夫と二人注意深く歩いた
君は今 社会のただ中を走っている
私達のうしろには
砕け散ったたくさんの残骸が落ちている
それらは風に吹かれ やがて
塵となって消えてしまうだろう
坂の下には
四十年前に住んでいたアパートが今も建っていて
きちんと使われていた