湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

「芽」の詩パート3

2015-03-09 10:55:06 | オリジナル
共通テーマ「芽」でAが書いた詩を投稿します。
 小坪の丘で
千年の希望

春になると表に出ることを自動的に思念し
押し留められて身動きひとつできず
毎年落胆しながら千年間
乾き切った固い土に囲まれていた

突然、地中に大量の水が流れ込んできた
堅い種皮をふやかして急激に浸み込んでくる
力強い波動が私の生命に押し寄せてくる
喉を鳴らして水を飲み細胞を震わせた
土の匂いや感触がすっかり変わっている
胚から大きな声を吐いて地表に顔を出した
濃厚な気配が光の中で跳躍している
千年間私を包んでいた皮をぶるんと振り落とし伸びをした
胸をそらし大気を深く呼吸した
青く大きく開けた天を滑るように翔ぶ鳥の影
見上げて勢いよく上昇し全身に光を浴びた
螺旋を描き緑を増しながら躰の隅々まで

ついに成長を始めた
ついに私自身になれた
快活な欲望と好奇心の葉を茂らせる
雨や風に打たれて踊り歓喜する
この活気溢れる世界に感謝して
色鮮やかな花を咲かせ実をつける

いよいよ種を落とす時
笑顔で励まし送り出す
〈自信をもって旅立つんだよ
お前たちを育む生態系へ 
その素晴らしい世界はもしかしたら
千年の未来かもしれないけれど〉

毎月、共通テーマで書いた詩の合評会をしています。
次の合評会は4月6日(月)14時~逗子市民交流センター1階で行います。見学・参加希望者は当日お気軽にいらしてください。

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