湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

本と曲がり角の詩

2020-12-08 00:34:52 | オリジナル
Zが撮影した神武寺の紅葉。


共通テーマ「本」「曲がり角」でZが書いた詩を投稿します。
本という食い物 

埃だらけの古本屋で 色褪せたスカトロ本を手に取り
「これ」と 言ったら 
くわえタバコの 禿げたオヤジにたしなめられた
うだるような暑さの夏の日

ビニ本が入った鞄を 電話ボックスに忘れ
お巡りから 電話があり 有難うございますの挨拶の後で
警察署に駆けつけて 見れば
ずらっと並べられた 鞄の中身
裏でなくてよかったと ホッとした秋の夜

一人ぼっちで 寒さに震えていた冬の日
初めて買った あの人の詩集
ボロボロになるまで 鞄の中に入っていた
終いには ページを食べてしまった
いまでは すっかり消化して
私の身体のパーツになっている あの人の言葉

曲がり角を曲がった先
何時ものように 落ち葉舞う曲がり角を歩いた先に
ボールを蹴っている あの娘の姿
セピア色の我が身が オーバーラップする
ボールが隣の家に入り 為す術なく 立ち竦むあの娘
ボールを渡すと はにかんで「ありがとう」と 言った
久し振りに聴いた 人間の言葉
この言葉を ポケットにいれて
もう一つの 角をまがって 家路を歩いた

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