神鳴り(アメジストネックレス)

難聴ゆえに家居の好きな主婦です。過去、心臓弁膜症、大腸がんの手術を受けました。趣味は短歌です

宮中歌会始の歌

2015年01月15日 13時49分21秒 | 短歌
昨日は、宮中歌会始でしたね。

気がついた時はもう終わってしまっていましたが、夕刊で天皇陛下の御製、皇后陛下の御歌、皇族方、招人、選者、入選者の歌を確かめさせていただきました。

どの歌もそれぞれ味わいがあってなかなかと思いましたが、中でも、私は皇后陛下の御歌が一番いいと思いました。

皇后陛下の御歌には、いつも、人柄、聡明さ、お優しさなどが感じられます。

今年の御歌

 来(こ)し方(かた)に本とふ文(ふみ)の林ありてその下陰に幾度(いくど)いこひし

ご本好きの皇后陛下らしい御歌だと思いました。

皇后陛下の物静かなたたずまいは、たぶん読書のご習慣からきているのでしょうね。

書庫のことを「文(ふみ)の林」と詠われたセンス、書庫の近くにいることを「その下陰」と詠われる詩情、詩人、皇后陛下の面目躍如の御歌だと思います。

文(ふみ)というのは、本の古語でありながら手紙という意味もあり、皇后様は、そういう書物を読まれるときは、手紙を読まれるような気持ちで本に向かわれるのでしょうね。

そして、この御歌は詩情があるだけでなく、さりげなく、「いくど」「いこいし」と「い」で韻律を整えていらっしゃいます。

韻律というのは歌には必須のものです。いくら詩情豊かでも、韻律が悪いとその詩情が伝わりませんし、逆に詩情が平凡であっても、韻律がいいと、それだけで人を酔わせてしまうこともあります。

今年初めて歌会始にお出ましになられた秋篠宮家の佳子様のお歌も、素直でよろしいですね。

    弟に本読み聞かせゐたる夜は旅する母を思ひてねむる

秋篠宮妃殿下、紀子様のご公務でお留守の夜に、弟宮、悠仁親王をお慰めするために、本を読んで差し上げていらっしゃるのでしょうね。

そして、結句の「思ひてねむる」に、悠仁親王をお慰めしながら、同時に、ご自身も本に慰められながら、お母様妃殿下をお慕いしながら、就寝される様子がうかがわれます。

佳子様は、お顔も可愛いので、われわれ国民に評判の宮様ですが、その心栄えのよさをも思わせるお歌だと思いました。

日本には、皇室があって、その皇室に、現在も、こういう伝統行事が続いていることは素晴らしいことだと思います。

自分が歌詠みの端くれだから言うのではありませんが、短歌、古くは和歌、の伝統は、日本語の根幹をなすものだと思います。

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  寒中のさなか日本に日本語をことほぐごとき行事はありぬ  biko