六衛府を中心に武芸の鍛錬(たんれん)のために行われた走馬の競技。左方と右方に分かれて競い、勝負の数を争う団体競技(これを手番(てつがい)という)であった。
離宮や摂関家(せっかんけ)邸宅への行幸(ぎょうこう)などの際に臨時に行われることもあったが、左右近衛府の場合、練習である荒手番が五月三、四日に、本番の真手番が五日、六日に、それぞれの馬場で行われた。すべての番が終了して左方が勝ったときは「蘭陵王(らんりょうおう)」、右方が勝ったときは「納蘇利(なそり)」の舞楽を舞うことになっていた。
◆参考と写真:上賀茂神社「競馬会神事」 風俗博物館