ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

男と女と蝉

2010-08-12 | Weblog
 近ごろ、たくさんのセミが地面に落下している。わたしは少ししか見かけませんが、何人もの方から、同じ話しを聞きました。どうもアブラゼミの遺骸のようです。
 なぜなのでしょう? うるさいクマゼミの大合唱に耳も頭も疲れ果て、力尽きるのでしょうか。彼らは同じ木に群集しています。毎日毎日、あの大声を間近で聞かされたら、頭のなかがキーン・ガーンと響き、目まいがして意識不明で落下してしまうのかも。

 ところで大量の落下セミのことを話してくださった方、おおよそ5人ほどですが、すべてが女性です。だいたい女性で虫好きとか、昆虫にくわしいひとは少ない。クマゼミとアブラゼミの特徴を説明できる方は、その内のただひとりでした。実は彼女の子どもが昆虫少年。息子の指導を受けて最近、虫のことにくわしくなられたようです。
 少年少女、いまではほとんど見かけませんが、虫とり網と虫カゴを持って走り回るのは、すべて男の子と決まっていました。女の子は生きたセミを指でつまむことも、たいていできない。

 ところが、たくさん落下しているアブラゼミについて、男はだれも話さない。おそらく眼にも入っていないのではないでしょうか。女性ばかりが亡くなったセミを意識し、話題にされる。ついに、落下セミを集め「墓を作って弔う」という女性まで出現した。
 まるで詩人、金子みすゞの再来である。「大漁」での海中のお葬式、クジラ供養の「鯨墓」…。

 セミと男と女。不思議な反応の違いです。台風一過、今日はセミ地帯を散歩してみましょう。地面ばかりを観察しながら。
<2010年8月12日>
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