第67回桜花賞は8日、阪神競馬場で行われた。
断然の1番人気は、牝馬の走りを超越しているように思える内容ぶりを見せ続けてきた2歳牝馬女王の14・ウオッカ。2番人気はフィリーズレビューで完勝し、阪神JFの借りを、同じコース、同じ距離である同レースで返したい、15・アストンマーチャン、3番人気は、皐月賞でも有力候補となっているアドマイヤオーラと2戦に亘って互角の勝負を演じ、こちらもチューリップ賞ではウオッカに寸前のところで敗れており、アストンと同じく、桜花賞でのウオッカ討ちを目指す、18・ダイワスカーレット。
ウオッカが1.4倍と断然人気になったとはいえ、アストン5.2倍、ダイワ5.9倍。3連複に至っては、この3頭の組み合わせがなんと2.6倍。つまり、ウオッカ一強と思われながらも、オッズの点からいけば明らかに三強対決。
スタートは9・アマノチェリーランがハナを切り、1・ショウナンタレント、3・カタマチボタンらが内枠を利してそれに続くが、3角手前でアストンが外からビュンビュンと前団へと取り付きに行き、それにダイワがすかさずつける展開。
一方、ウオッカは逆に中団あたりで一度は様子を伺っていたが、アストンとダイワが直線(474M)手前で早くも先頭を伺う様子だったことから、3~4角で漸進していき、直線手前ではアマノ、アストン、ダイワ、ウオッカといった形となる。
直線に入り、アストンを終始マークしていたダイワが早めに交わしにかかるところを、ウオッカもそれに反応してダイワを交わしにかかるが、逆にダイワと馬体が接触するシーンもあって突き放される。ウオッカは最後まで懸命に追うもダイワが押し切って優勝。ウオッカ2着。3着は終始前々の競馬を見せていたカタマチボタンが入り、アストンは7着に沈んだ。
父方にサンデーサイレンス、母方にノーザンテーストの血が入るという、最高傑作の血統といえるダイワスカーレット。
とりわけ、次週行われる皐月賞でも最有力候補と目されるアドマイヤオーラを、中京2歳ステークスでは撃破し、シンザン記念でも直線における叩き合いに持ち込んだあたりは、さすがは良血馬と思われたもの。
しかしウオッカとの初対決となったチューリップ賞では、自ら先行し、最後まで粘ったとはいえ、ウオッカに着差以上の完敗を喫し、ウオッカとの差は下馬評では歴然と言われるようになった。
したがってウオッカを破るためには先に競馬をすることはもちろん、ウオッカを倒すためにはある程度のハイペースを覚悟せねばならないという気持ちが必要と安藤勝己が悟り、たまたまアストンマーチャンが強引に外から引っ張っていってくれたことも手伝い、最後の上がり3Fは33.9秒であったが、ダイワ自身の推定上がりタイムは33.5秒であり、スピードでウオッカをねじ伏せた格好となった。
安藤は桜花賞連覇達成。そしてJRA700勝もこのレースで達成した。まさに「喧嘩競馬」を挑んで男勝りの最強牝馬をねじ伏せた。完勝といっていい。
ウオッカはダイワ、アストンの執念の走りに屈した格好。
確かに、両馬が3角手前からビュンビュン飛ばしに行った際に中団に抑えず、そのまま行かせればよかったのかもしれないが、この馬は逆に両馬とは違ってスピードという面においては若干見劣りする面があり、結果的にダイワスカーレットにそこを衝かれる羽目になった。
ただ、この馬は距離が伸びたほうがいい馬であることは確かなので、オークスに出走することがあれば、もちろん今回同様本命を背負うことになるだろう。
しかし、最後、ダイワに突き放された内容が少々気になる。今後に影響が出なければいいと思うんだが。
カタマチボタンはしぶとい競馬を見せ3着。よく頑張った。アストンマーチャンは、直線でダイワにこられたときに既に脚を失っていた。