競輪大量落車のコーナーを設けて2年経つが、20日のびわこの全選手落車はついに、来るべきときがついに来たか、という印象。
8名落車はちょくちょくあったが、まさか全員落っこちるとはねぇ・・・
ところで、大量落車が発生すると、ともすれば、落とした(落車のきっかけを作った)選手よりも、乗り上げた選手のほうを暗に批判するケースも見られる。
車の事故で、「玉突き衝突」というものがある。動いている物体を制止させるには、それなりの距離が必要であるために生じるものである。車の場合だと、「空走距離+制御距離」で表されるが、一番の重要点は、制御前の車速・時速である。
ちなみに、
空走距離は、
反応時間(秒) × 制動前の車速(m/秒)
で表される。
また、制御距離は、
制動前の時速(Km/時)の2乗 ÷(254×摩擦係数)
で表される。
ということは、制御前の速度に応じて変化する。
この間のびわこでは、最終2センター付近で全員転倒となった。恐らく、この付近では、時速60km近いスピードが出ていたのではないか。
ということは、自動車専用道路の最高時速に匹敵するスピードが出ていることになる。しかもこの地点はカントがもっとも高い地点でもあることから、さらに加速度が増す。
もし車の場合だと、時速60km近い時速で走行していた場合、前方車が急激に停止状態ないしは、スリップ横行といった事態になると、後続車が例え十分に車間距離をとっているつもりでいたとしても、避けるのはまずムリだろう。ま、映画のカーチェイスのシーンでは、巧みなハンドル捌きを駆使して衝突を回避するシーンがよく出てくるけど、現実にはそのようなシーンはほとんど奇跡に近い。
ましてや、競輪の場合は車間距離がかなり短い。
しかしながら、避ける選手は避ける、という人も中にはいる。
確かに、前方者が落車した状態によっては、うまく避けることもできる。例えば、落車した選手の自転車が、後続選手の自転車が進行する方向とは反対の方向に向いている場合とか。しかしながら、そのような形で咄嗟に反応できる人というのは、恐らくいまい。仮にうまく避けきれたケースがあるとすれば、それこそ、たまたま、という他ないのではなかろうか。
ということを考えた場合、仮に牽制しようと思う選手は、後続のこともよく考えないといけないということ。単に後方から捲ってくる選手がいたと仮定して、その選手を怯ませたいと思うのならば、その選手の加速を緩めるような形に持っていかねばならないということではないのか。
単純にガーンと当たりに行っているだけなのに、もしも「落ちた奴が悪い」なんて考えている選手がいるのだとしたら、はっきりいって選手をやめてもらっても構わない。