中央競馬としては、7日のニュージーランドトロフィーからお目見えすることになる「はず」の「Jpn」グレード。
しかし地方競馬で行われる交流重賞が早速4日行われたマリーンカップより「Jpn3」としたのに対し、JRAのほうはいまだ桜花賞を「G1」と明記したまま。
つまりJRAでは、今月21日の開催から順次、「Jpn」とすることにしたものの、何か、未練がましく思えて仕方ない。
今週号の週刊競馬ブックで島田明宏氏が一筆啓上にて、「Jpn1は必要か?」と題し、「Jpn1ではなく、G1に戻してほしい。」と述べているが、JRAのグレードの決め方については、以前にも述べたことがあったが、あくまでも、JRAのプライベートグレードでしかないことは前々から問題視されていた。
ところで、日本ダービーが「G3」である各重賞よりも実質ランク的にみて「下」なのか、と言われると決してそうではない。
一方、他国の重賞競走において、例えばJRAでは、秋華賞やヴィクトリアマイルをいきなり「G1」として新設重賞としたことがあったが、そのような例はほとんどない。せいぜい、ブリーダーズカップぐらいなものであり、ドバイワールドカップにしても、第三回より漸く「G1」として認められた。
つまり、下記に挙げる条件さえクリアできれば、日本ダービーも「G1」として返り咲けるのである。
(1)外国調教馬が出走できる国際交流競走であること
(2)過去3年間のレースレーティングの平均が基準(GI=115、GII=110、GIII=105)を満たしていること
(3)新設後3年間の競走実績があること
これはパートワン国である限り、万国共通であり、それに則るしかない。
ところで、JRAが「国際レース」としながらも、Jpnに甘んじている競走がある。
それは、Jpn1としては、ヴィクトリアマイル。
Jpn2としては、アメリカジョッキークラブカップ、目黒記念、アルゼンチン共和国杯、ステイヤーズステークス、阪神カップ。
Jpn3としては、ダイヤモンドステークス、オーシャンステークス、新潟大賞典、アイビスサマーダッシュ、福島記念である。
ヴィクトリアマイルと阪神カップについてはそもそも昨年始まったばかりの重賞なだけに、少なくとも再来年までGに「昇格」できる資格はないが、それらを除けば、全て関東地区で行われている重賞という点がクローズアップされる。
つまり、レイティングが相対的に高い関西馬の出走機会が少ない重賞であるということもいえる。
ということは、上記に挙げた重賞というのは、歴史的にも古いものが多いため、例えば外国馬の開放を積極的に行うとか、はたまた関東馬のレベルを上げるなどといったことを主眼におけば、「G」に「返り咲ける」可能性は十分ある。
というように、ポジティブに考えれば、日本競馬の底上げにも繋がっていくのではなかろうか。
一方、パートワン国のカナダがそうしているように、国内3歳三冠レースについてはノングレードにしているケースもある。それはそれで意義がある。だからこその「Jpn」グレードといえないか。
国際グレードと日本グレードの共存というのは、実は前々から整理せねばならない重要課題であったはずで、それを放置してきたJRAに問題があったといわざるを得ない。
だからといって、既に述べたように、日本ダービーの威厳が落ちるわけでもない。今も昔も、JRAのホースマンにとってみれば、
「一生に一度でいいから、(日本)ダービーを勝ちたい」
という気持ちは変わらないだろう。
G1に昇格させるか、はたまたJpnとするか、それは将来の趨勢を見て、決めていけばいいことである。
但し将来的に、Jpnの重賞はいくつか淘汰される可能性がある。しかし、これもまた、重賞過剰気味の日本競馬の現状を考えると致し方ないことだろう。