今日はYahoo地方公営ギャンブル経営よりもう一題。
3連馬券「魅力はある」が… 増収効果当て外れ 岩手競馬
経営再建に向けて正念場のシーズンが始まった岩手競馬をファンはどう見ているか。河北新報社は盛岡競馬場の入場者100人を対象にアンケートを行った。県競馬組合(理事長・増田寛也知事)が本年度から導入した3連勝式馬券などが、売り上げ増に直結していない現状が浮かび上がり、増収策を軸にした再建の限界を示す結果になった。
調査は14日から22日までの5日間、盛岡競馬場を訪れた競馬ファン100人を対象にアンケート形式で実施した。回答者の内訳は男性が85人、女性は15人。
組合が増収策の起爆剤として期待する三連単・三連複馬券については「魅力アップになった」が大半。「少額で高配当が期待できる。初心者にも受け入れられやすい」(会社員・40代)「少額の購入でも夢を持てる」(会社員・60代)などおおむね好評だった。
ただ、「魅力アップにならない」も15人おり、「むしろ逆効果。安く買うので1人当たりの単価は下がる」(運送業・60代)という声も聞かれた。
馬券の購入額を尋ねると、「1万円以下」がトップで次に「3000円以下」が続く。少額傾向がうかがえ、購入額については「変わらない」「減る傾向にある」が9割近くに上った。
3連勝馬券の好評ぶりとは対照的に、実際の馬券売上高は計画に反して前年同期を下回る厳しい水準が続いている。購入額が同じか、減る傾向にある中で、従来の馬券が新馬券に移行しているだけという実態が裏付けられる形になった。
購入額が変わらない人は「1日に1万円以下というように使う金額を決めて遊んでいるから」(会社員・30代)という意見が多く、「減る傾向にある」と答えた人には、「3連勝式をやるようになって、少ない投資で遊ぶようになった」(会社員・40代)という声もあった。
同じく本年度導入のインターネット投票については、9割が「知っている」と回答し、制度としては浸透していることが分かった。しかし、実際に「購入したことがある」人は6人だけ。
購入者は「自宅でオッズを見ながら買えるので便利」(会社員・30代)と答えたが、ネット投票をしない人の意見には「ネット購入はただ金もうけをするようなもの」(無職・60代)と否定的な声もあった。
競馬場やテレトラック(場外馬券所)に足を運ぶ回数については、「ほぼ毎週」が44人と最も多く、「月に数回」が32人で続いた。根強い固定ファンがいることも一方で裏付けられた。
岩手といえば、今でもそうだが、公営ギャンブルといえばほとんど競馬しかないようなところ。最近では競輪や競艇の専用場外も近郊にできたが、まだまだ追随を許さい。しかも上記にあるように、思ったほど競馬ファンが減っている印象もない。
なのにここ数年、岩手競馬の売り上げは毎年、坂を転げ落ちるかのような状態。毎年2桁の売り上げ減を記録し、
「一体どうしてなんだ?」
と首を傾げざるを得ない。
地方競馬の優等生という言われ方もつい5年ほど前まではなされていた。
なぜ岩手は急激に衰えてしまったのか・・・
まず、トーホウエンペラーが東京大賞典や南部杯を勝ったころまでは、岩手といえば、常に名馬を輩出し続けていた「伝統」があった。
トウケイホープ、ボールドマックス、スイフトセイダイ、 グレートホープ、トウケイニセイ、モリユウプリンスと続き、有名なメイセイオペラ、トーホウエンペラー。
ところが今や岩手にこれぞ、という馬がいない。
もともと岩手というところは熱狂的なファンが多く、上記のような全国でも通用するような馬がいればそれなりに盛り上がり、また、馬券もそれにつられる形でどんどん買うファンがいたんだろうと思う。
しかし「ただ競馬をやっている」という感覚では岩手のファンはついてこないんだろうね。
その上、盛岡なんてJRAの中央場所4場と同じく入場料が200円、指定席も一番高いところだと2500円ぐらいしたが、次第にそういったあたりも「嫌われていった」んだろう。
一方で、まだまだ岩手の場合、潜在的な客層はいるわけであり、要はうまく掘り起こせばまだまだ健闘できる余地は残されているように思う。
岩手といえば、割と早くから「広域場外発売」を積極的に行ったところとしても有名だった。
九州の2場とは今もなお連携が密に取れているし、相互場外発売も頻繁に行われている。また、福島競馬場における場外発売も早くから実施していた。また、テレトラックも一時は10箇所以上東北各地に設置し、1日の売り上げは南関東に続く2番手をゆるぎないものとしていた。
ところがテレトラックは三本木を除けば不振らしいし、他の広域場外にも限界が生じてきた。また、長らくD-netには参画しなかったが、独自の在宅投票システムである、R-CALLを残しつつ、3年前からD-netに参画。また、ネット投票も当初、現在のオッズパークのようなものを単独で行う「はず」だった。
いろいろと売り上げ増強策は手を打ち、実行もしてきた。それでも売り上げ増強には繋がらない。
そんな折、売り上げが振るわない平日開催の月曜日のてこ入れ策として、今年度から自場の開催にないときに限って園田でも発売するようになった。
園田は概ね、月曜日の開催はない。そこを月曜開催も行っている岩手が目をつけ、これまで全くといっていいほど縁がなかった関西でも岩手の馬券が発売されるようになった(今月一杯まで)。
ただ関西の場合については、これを契機にネット投票、つまり、概ね日曜日に重賞が組まれている岩手競馬をオッズパークを通じて買ってもらえれば、という意味合いでやっているんだろうと思う。
上記では確かに利用者が著しく少なく、前途多難もいいところのネット投票であるが、まずは自分のところの競馬に全く縁がなかった関西でも、園田で発売されればスポーツ新聞には掲載されるし(日刊大阪には掲載されている)、そこから興味をもってもらえれば、という狙いがあるんだとすれば決して間違ったやり方ではあるまい。
3連単についていえば、岩手は後半5レースしか発売していないが、関心は確かに高いみたい。ただ、岩手というところは、従来型ともいうべき、単・複・馬連しかなくとも、もとからソコソコ売れたところなのである。
しかも、間の悪いことに、一部では、3連単を買う場合には、「薄く、小さく」といった豆券購入者が激増し、その結果一人当たりの購買単価が著しく落ち込んでいる中での導入だけに、関心は高いといいながらも、実際には、
「あたらないからやめておこう」
となっているんではないか。
岩手の場合、馬券発売に関してはほとんど手を尽くしてきた感がある。問題は「中身」。果たして、メイセイオペラやトーホウエンペラーといった、岩手といえばこの馬、といった馬が果たして今いるのか?というあたりを懸念せざるを得まい。
私自身、今岩手の馬ってどの馬が強いのか、ってのは、はっきりいってわからないもんな。
加えて番組・制度面における問題はどうなのか?
たとえば全国級とはいかなくとも、連勝街道を突っ走っているとかいった馬も岩手にはいない。ま、「1回も勝ちなし。連敗街道更新中」なんていう馬が突発的な人気を呼んだケースはあるが、こうした手はもう通用しまい。
とにかく、いい意味における話題づくりが岩手には一番欠けている。作為的な売り上げアップ作戦をやったところで、岩手を知るファンは乗ってこない。そこが岩手の一番の課題だと思うが。