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キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスとは?

2006-05-03 05:58:49 | 競馬

これまで、凱旋門賞の存在は日本でも広く知られても、キングジョージの存在はあまり知られていなかったような気がするが、実はこのキングジョージというレース、競馬の母国・イギリスの最大のレースであり、また凱旋門賞と双璧のレースである。

確かに、3歳馬の成長が頂点に達する時点で覇権を争われる凱旋門賞のほうが今や勝つのが難しい。また最近では強力3歳馬が大概、凱旋門賞に照準がおかれてキングジョージをスキップするようになったためにここ10年間では古馬が8勝している。97・98年の同レース連覇を果たしたスウェインが勝った年齢はそれぞれ5・6歳と「高齢」であったが、6歳で制覇した馬は過去になかった。

しかし、過去にキングジョージと凱旋門賞を同一年度で連覇した馬は数えるほどしかいない。

まずはイタリアの伝説の名馬・リボー。

1955年の初の海外遠征がいきなり凱旋門賞だったリボーは3番人気ながらも2着に3馬身の差をつけて快勝したが、翌56年にキングジョージに登場。ここでもハイヴェルドに5馬身の差をつけて圧勝した。そして同年、リボーは連覇を期して凱旋門賞に挑み、ここでも2着に6馬身の差をつける圧勝。なんと16戦全勝の成績を残して引退。そして種牡馬としても大活躍した。

1971年、ミルリーフは2000ギニーこそ敗れたが、ダービーでは快勝。エクリプスSでも圧勝してキングジョージへと挑んだ。結果はなんとオーティスに6馬身の差をつける圧勝劇。その後ぶっつけで凱旋門賞に挑んだが、ここでも2着に3馬身の差をつけ史上2頭目のキングジョージ&凱旋門賞制覇。そしてミルリーフは英ダービーも勝っていることから

「欧州3冠馬」

という称号を与えられた第一号馬となった。

ミルリーフもまた、種牡馬として多くの著名産駒を輩出した。そのうちの一頭、ミルジョージは競走馬成績は平凡だったが、日本で種牡馬となるやイナリワンやロジータをはじめ、エイシンサニー、リンデンリリー、オサイチジョージといった馬たちを輩出。日本でもミルリーフの血統は脈々と受け継がれた。

英国競馬史上の中で今でも屈指の名馬と称されるダンシングブレーヴは1986年のダービーでシャーラスタニにまさかの不覚を取りデビュー以来の全勝記録が潰えたが、エクリプスSを快勝してキングジョージに挑み、ここでこれまで主戦だったスターキーに替え、エデリーを配した。

2番人気だったが、シャルダリとの叩きあいを制して快勝。このレースで1番人気だったダービー馬・シャーラスタニは4着に終わり、見事ダービーの雪辱も果たす。

そして凱旋門賞でも仏ダービー馬・ベーリング、トリプティクらを一蹴してレコード勝ち。種牡馬としても大いに期待された。

しかしダンシングブレーヴは「マリー病」という病にかかってしまい、せっかくコマンダーインチーフやホワイトマズルといった名馬を輩出しながらも概ね種牡馬としては不人気で、結局英国を追われる形で日本中央競馬会が購入。日本で種牡馬生活を送ることになった。

このダンシングブレーヴが日本にやってくると聞いたとき、私はびっくりしたもんだが、その期待通り、病を抱えつつもテイエムオーシャンをはじめ、キョウエイマーチ、エリモシックといった名牝の他、牡馬でもキングヘイローを輩出。数少ない産駒の中から、重賞勝ち馬を多数輩出したばかりか、日本でダンシングブレーヴが「復活」したことを受けて、その後、著名な輸入種牡馬が続々と来日し、ひいては日本調教馬がその後海外のレースにおいてもひるまない活躍をみせつけるようになるその「きっかけ」を作った馬でもあった。

「神の子」と称され、競走キャリアわずか4戦(全勝)ながらもそのうち3つが「欧州3冠レース」の勝利だったラムタラ。ダービーでは6番人気ながらもレコード勝ちを果たし、キングジョージから鞍上をデットーリに替え、1番人気でレースを迎えた。

直線に入ってペンタイアとの激しい叩きあいとなるも執念の勝利。続く凱旋門賞も制覇して神から舞い降りてきた名馬と称された。

そして種牡馬生活のスタートはなんと日本であった。

しかしながら、種牡馬としてはいまひとつの成績。ダンシングブレーヴの例とは今のところ対照的なものになっている。

同一年度でキングジョージと凱旋門賞を制覇した馬はわずか4頭である。他にモンジューが1999年の凱旋門賞でエルコンドルパサーをG前下し、翌年のキングジョージを制覇している例はあるが、はっきりいって、キングジョージと凱旋門賞を連覇することは至難の業だ。

ところが今年、あのディープインパクトはもちろん、ハーツクライまでもこの「偉大なる」両レースに挑む話が持ち上がっている。

しかも現地の欧州でも今のところ両馬の評判は高いらしい。

私が競馬を知ったとき、この両レースを勝つ馬さえ日本調教馬からは出てこないと思っていたが、今や、このうちひとつ勝つのは「当たり前」、両方勝つチャンスは十分にある、という話になりつつある。

ま、私としてはこのうちのひとつ勝ってくれるだけでも十分。それくらい勝つのが難しい世界最高峰のレースがキングジョージであり、凱旋門賞だ。

そのうちキングジョージというレースは競馬の母国・イギリスのレースでもあり、私とすれば凱旋門賞以上に「勝ってほしい」レースだ。

もし勝ったならば「大快挙」。キングジョージは7月29日、改装なったアスコット競馬場で行われる。


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