イタリアサッカー界の名門チームが疑惑の渦中にいる。
Yahooスポーツより
【ローマ海保真人】イタリアのプロサッカー1部リーグ(セリエA)に絡む八百長疑惑は、12日にローマ市で警察当局によるイタリア・サッカー協会本部などの家宅捜索が行われ、さらに大きなスキャンダルに発展した。疑惑は同リーグ4チームに広がっているが、名門のユベントスがその主要な舞台であることが発覚。同協会の正副会長は既に辞任している。ワールドカップ(W杯)ドイツ大会開幕(6月9日)を前に、サッカー王国のイメージダウンは必至だ。
中心人物はユベントスのゼネラルマネジャー、ルチアーノ・モッジ氏。別のドーピング疑惑捜査の過程で盗聴された、審判員協会長パイレット氏らと交わした電話の記録が端緒となった。
伊各紙によると、04年9月の電話でモッジ氏は、チャンピオンズリーグでユベントスが引き分けに終わった試合の審判員について不平を言い、パイレット氏は「次の試合は最高の審判員をあてた」などと話した。また、モッジ氏はユベントスの最高責任者ジラウド氏との電話で、当時獲得を目指していた別のチームの有名選手に「怠慢プレー」を促したことなどを明かした。
ローマ、ナポリ、トリノなど5検察当局が本格捜査を進めているが、モッジ氏が日常的に審判員を抱き込んでいた疑惑だけでなく、モッジ氏の息子が経営する選手移籍のための大手代理人会社が絡んだ賭博・八百長疑惑などが浮上し始めた。
検察当局は12日、ユベントス、ミラン、フィオレンティナ、ラツィオの4チームとそれぞれの幹部、協会関係者や審判員ら41人、昨シーズンのセリエAの19試合が捜査対象になっていると明らかにした。中にはW杯の審判員が予定されるデサンティス氏も含まれているという。
不祥事の責任を取り、同サッカー協会のカラーロ会長、マッツィーニ副会長は辞任、モッジ氏ら複数のユベントス役員も11日に辞任した。検察当局は15日にモッジ氏から事情聴取する予定だ。
ユベントスは昨シーズン、セリエAで優勝。今シーズンも現在トップで、14日に2連覇と29回目の優勝をかけて最終試合に臨む。
そして、ユベントスは昨日、29回目のスクデット(セリエA優勝)を果たしながらも、セリエB降格になる恐れがあるとのこと。
Yahooスポーツより
【ローマ14日共同】サッカーのイタリア1部リーグ(セリエA)は14日、最終節を行い、ユベントスが2-0でレッジーナを下し、勝ち点を91に伸ばして2季連続29度目の優勝を果たした。しかし同日付の地元各紙は、不正行為疑惑の渦中にあるユベントスは同国サッカー協会による処分でタイトルをはく奪され、2部(セリエB)に降格となる可能性が高いと一斉に報じている。
逆転優勝の可能性があったACミランはローマを2-1で破ったが、勝ち点88で2位。31得点のイタリア代表FWトニ(フィオレンティナ)が得点王に輝いた。
不正疑惑ではユベントスの幹部2人が、チームが有利になるように審判員指名の操作をするなど不正行為を行った事件の中心人物とされている。このため各紙は、重い処分が必至との見方を伝えている。ユベントスはこれまでセリエBに落ちたことはない。
93年だったか、欧州チャンピオンズカップ決勝でフランスのマルセイユがACミランを破って優勝を果たし、フランスクラブ勢としては初の同大会優勝を果たしたと思われたのもつかの間、その試合においてマルセイユ側の「八百長」がバレ、マルセイユは優勝を取り消されたばかりか、フランス1部リーグ(ディヴィジョン1)からも強制降格させられたことがあった。
その後マルセイユは1部に戻ってきたが、当時フランス最強クラブと称された面影は今はない。
ユベントスといえば、トリノはおろかイタリアを代表する名門チームであり、ミラノにあるACミランとともにイタリアを代表する世界の2大クラブチームである。そして、チームカラーとしては、「カテナチオ」という戦法が優先され、とにかく、チームの勝利を第一とすることで定評がある。一方、ACミランは「ファンタジスタ」と言われる、サポーターを魅了するようなサッカーを伝統的に重んじており、チームカラーは対称的といってもよかろう。
また、この2チームが対戦する場合には、「イタリアダービーマッチ」と称される場合もある。
その一翼を担い、しかも今シーズンもスクデット獲得を果たしたユベントスがまさかの事態に。これはイタリアのみならず、世界サッカー界を考えても衝撃的な事件だけに、今後の成り行きが注目されるところ。
ま、サッカーの八百長事件というのは決して昔からなかったわけではないが、イタリアの「模範チーム」の象徴ともされたユベントスがそのような渦中にあるとは誰も想像がつかなかったはず。
しかし容疑は次第に明るみになってきているし、名門失墜の可能性は限りなく高いということだろう。
ひいてはもう来月に迫った、ドイツワールドカップにも大きな影響が出そう。何せ、イタリアはナショナルチームもまた、世界中の注目を浴びているからね。