映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サード・パーソン

2015年02月07日 | 映画(さ行)
行き詰まり、錯綜する、それそれの人生



* * * * * * * * * *

パリ・ローマ・ニューヨーク、
それぞれの場所の3組の男女のストーリー。

★パリのホテルにこもり最新作を執筆していた
ピューリッツア賞作家のマイケル(リーアム・ニーソン)。
しかし彼はその後満足の行く作品を書けていません。
作家デビューを目指す野心的女性と不倫関係にあります。



★アメリカのビジネスマンスコット(エイドリアン・ブロディ)は、
ローマのバーでエキゾチックな女性に心奪われます。
彼女は密輸業者から娘を取り戻そうとしています。



★ニューヨークの元売れない女優ジュリア(ミラ・クニス)は、
息子の親権をめぐり元夫と係争中。
ホテルの客室担当をしています。



彼・彼女らはそれぞれ道に迷い行き詰まり煮詰まっていきます。
ちょっと、息苦しいほどに。
でもどんなに行き詰まっても、やがてそれは溢れて流れだす・・・。
が、それはハッピー・エンドではなく、苦い後味を残します。
それぞれ全く関わりのない人生ではありながら、
ほんの少しずつ、散りばめられたピースからパズルを完成するように
何かしらのつながりが見えてくる。
そんなところも見どころ。


本作のキーワード、「サード・パーソン」は
「第三者」ですね。
直接的には、マイケルが自分の日記なのに
自分をHeと書き表していたところから来ています。
三人称。


彼らは結婚し正式なパートナーがいる(いた)にも関わらず、
本作中では別の相手といたりするわけです。
それが第三者。
この第三者の存在が、彼らの人生に大きな変化を与えていくというわけですね。


そして、もう一つのキーワードが「子供」。
結婚した相手とは「別れ」ることはできても、子供は別。
いってみれば自らの分身のようなもの。
この愛だけは不変なのです。
そこでまた軋轢が生じる・・・。



この地球上、いつでもどこでも繰り広げられている
永遠なるテーマを封じ込めた作品と言ってもいいかもしれません。
本作で強烈だったのは、マイケルの愛人アンナ(オリビア・ワイルド)ですね。
自由で勝ち気で気まぐれ。
個性的ではあるのですが、彼女には重大な秘密が・・・。
結局マイケルは彼女を愛したというよりも
彼女の秘密を愛していたように思います。
あくまでも自分の作品のために彼女を愛した・・・。
うわ~、96時間の無敵な父親像を打ち砕く、
人の心の痛みをわかろうとしない、すんごく嫌な男性像でした、リーアム・ニーソン。
でも、こういう役もやっておかないと、
アクション俳優にされちゃいますからね・・・。



「サード・パーソン」
2013年/イギリス/137分
監督・脚本:ポール・ハギス
出演:リーアム・ニーソン、オリビア・ワイルド、エイドリアン・ブロディ、モラン・アティアス、ミラ・クニス、ジェームズ・フランコ
人生の迷い道度★★★★★
満足度★★★☆☆



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