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「ナルニア国ものがたり4 銀のいす」 C・S・ルイス 

2016年09月29日 | 本(SF・ファンタジー)
「真実」を見出すこと。信じること。

銀のいす―ナルニア国ものがたり〈4〉 (岩波少年文庫)
ポーリン・ベインズ,C.S. Lewis,瀬田 貞二
岩波書店


* * * * * * * * * *

級友のユースチスにさそわれ、願いのことばを唱えてナルニアにきた少女ジルは、
長いあいだ行方不明になっている、航海王カスピアンの息子、
リリアン王子をさがしだすよう、アスランから命じられます。
ジルとユースチスは、沼人の泥足にがえもんといっしょに、
北へ北へとつらい旅をかさねることに。
巨人族のすむ北方の荒れ地国で、
また地霊たちのすむ地下の国で、
三人はいく度となく、おそろしい目にあい、ゆくてを見失いそうになります。


* * * * * * * * * *

ユースチスがナルニアの東の果ての大冒険から戻って、ほんの数カ月後のことです。


ユースチスは同じ学校の女の子ジルと共に、再びナルニアへやってきます。
ナルニア国ではあれから数十年が過ぎてしまっていました。
そしてカスピアンの息子、リリアン王子が行方不明となってしまっているのです。
ユースチスとジルはアスランの命によって、そのリリアン王子を探す旅に出ます。
前回は東へと向かう旅ですが、今度は北へ向かう旅です。
おりしも秋も遅く冬に向かう季節。
この地の事情には全く詳しくない二人のために
「泥足にがえもん」という沼人が助っ人として共に旅をしてくれます。
ジルはアスランからこの任務のために4つのすべきことを聞いたのですが、
ことごとくミッションに失敗してしまうのです。
それでもなんとか巨人族の住む土地から更には地底へと目的に近づいていくのですが・・・


薄ら寒い北への旅、そしてさらに地底への旅
・・・ということで、前回の開放感のある旅に比べるとなんとも陰鬱。
はじめから苦難が予想される雰囲気です。
でも、ユースチスとジルは時々喧嘩をしながらも、
だんだんいいコンビになっていきます。
二人のお供をする「泥足にがえもん」というのがなんともユニークでナイスなキャラクター。
考え方がばかにネガティブなんですが・・・
しかし、考え深く勇気があって、そしていつも正しい。
というか、彼の心のなかにはいつもアスランがいるのでしょう。


本巻は「信じること」の大切さがテーマのような気がします。
魔女が「ナルニアなどない、アスランなんかいない」と子どもたちの心を打ち負かそうとしたり、
椅子に縛り付けられている軽薄で信用ならない男が
「この銀の椅子から解き放してくれ」と懇願するとき。
子どもたちは何を真と信じ、何をウソと見破るのか。
確かに宗教色は強いですが、でも大切なストーリーだと思います。


リリアン王子の登場の仕方も意外だし、
また、地底の国の描写もSF好きにはたまらない設定。
こういうストーリー性で、全然飽きずにどんどんと読み進んでしまいました。

「ナルニア国ものがたり4 銀のいす」C・S・ルイス 岩波少年文庫
満足度★★★★☆



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