映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ココ・アヴァン・シャネル

2009年10月02日 | 映画(か行)
結婚しない人生から作り上げたもの

         * * * * * * * *

今度のシャネルは、オドレイ・トトゥ。
お国もとのフランス作品で、
衣装にはシャネルの協力ありということで、
一見こちらの方が華やかな印象はあります。

ドラマとしては、どうでしょう・・・。
う~ん、そう変らない気がしました。
エドモンド・シャルル・ルーという方の原作をもとにしていますね。
シャーリー・マクレーン版も、多分に参考にしているのではないかと思います。
そもそも、1人の人生、大きく違っていたら問題ですけれど。
シャーリー・マクレーン版のほうが、
老いたシャネル、失敗を乗り越えるシャネル、ということで、
「波乱万丈の人生を女1人で生き抜いた」感はあります。

・・・正直に白状すると、私はどっちもあまりのめりこめませんでした・・・。
別に、わざわざ劇場でなくても良かったなあ、なんて。
出来が悪いというのではなくて、
単にあまり私の興味が乗らなかった、ということだと思いますので、
お気になさらずに・・・。

まあでも、いろいろ思うところはありました。
20世紀初頭。
まだ女性が働いて自立するという概念が無いのですね。
女性の人生というのは、誰かと結婚する以外ほとんど選択の余地が無い。
それもできるだけお金持ちと結婚できればラッキー。
シャネルは、そういう生き方に逆らったというよりは、
乗り損ねたのかもしれません。
それで、仕事にのめりこむことになるのですが、
仕事に向く、着やすく動きやすい服を自ら作り出してゆく。
そういう服を着ることによって、
女性の意識がまた開放されていく。

つまりは、シャネルが女性の社会進出の
原因の一端を担っていたといえるのかもしれません。
彼女が幸せな結婚をしていたら、それはもっと後のことだったのかも・・・。
女性が馬にまたがって乗っただけで非難されるなんて・・・、
今ではとても考えられませんよね。
あのコルセットで締め付けるドレスは絶対1人では着られません。
レディーファーストなどと聞こえはいいですが、
あれは単に男性社会をいろどるお飾りへの憐憫でしかない。
今となってはそれもセクハラ?
今は女が人類史上最も生きやすい時代なのかも。
・・・その選択の幅の広さゆえに、また悩んでしまうところもあるのですが。

2009年/フランス/110分
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:オドレイ・トトゥ、ブノワ・ポールブールド、エマニュエル・デュボス、マリー・ジラン


『ココ・アヴァン・シャネル』予告編 Coco Avant Chanel JTrailer