家族を守る強い父親像
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この作品は、危うく見逃すところだったんですが、イヤー、見てよかった。
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監督クリント・イーストウッドを語る上では見逃してはならない作品でしたね。
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西部劇なんですね。この時期の彼には久し振りの。
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はい。アメリカ合衆国建国200周年記念映画として作られた作品だそうで・・・。
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へえー。だってね、作品中、南軍の投降兵が
不承不承「合衆国に忠誠を誓う」と片手を上げたところに
北軍兵が銃を撃ち込んで皆殺し・・・なんていうシーンがありましたよねえ。
そんなシーンを入れちゃうっていうのがすごい。
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部分的に観ればそういうところもあるんだけれど、
アメリカの歴史という大きな視点では納得できるというところなんですよ・・・。
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痛ましい戦争もあったけれど、友愛もあって、この国はここまで来た・・・というような、ね。
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まず、始めのところからショッキングですよね。
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舞台は南北戦争末期。
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ジョージー・ウェールズ(クリント・イーストウッド)は
開拓地の農民なんだけれども、
そこへ、北軍のゲリラ兵とでもいうのか、
ならず者みたいな奴らが乗り込んできて、彼の妻、息子が殺されてしまう。
復讐を誓うジョージーは南軍に加わり、腕を磨いてゆくけれども、
戦争は南軍の敗北。
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彼が加わっていた部隊は、北軍への投降を決意するけれども、
ジョージーは当初の信念により、1人残るんですね。
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彼はただ1人、お尋ね者として追われる身になってしまう。
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そこから、孤独な彼の戦いが始まるのかと思いきや、
彼の道行きに、少しずつ道連れができていくんですね。
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老インディアン、虐待されていたインディアンの娘、
開拓民のおばあさんとその孫娘、なぜか犬まで。
どんどん大所帯になっていく。
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でもちっとも心強い仲間じゃありません。
むしろ足手まといというべきか。
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けれど、ジョージーは一度失った家族を取り戻していくのですよ。
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戦争は全てを打ち砕くけれども、
私たちは愛と信頼と勇気があればまた立ち上がることができる
・・・というようなメッセージ性がしっかりあって、
それまでの単なるヒーロー物語の西部劇とは一線を画しているんですね。
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家族を守る強い父、というアメリカの理想とする父親像がありましたね。
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かっこよくて、強くてやさしい・・・。
それも一見無関心を装うところがまた、なんとも言えないかっこよさでね。
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そこが、イーストウッドの魅力なんですよ。
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この新しい「家族」に安住する方法もあるのだけれど・・・、
でも、一度誓った復讐をやはりやめることはできない。
そういう孤独な決断のシーンも素敵でした。
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でもこのあたりは、まだまだ、拳銃とイーストウッドは切っても切りはなせないですね。
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そう、このジョージーはいつでも何丁も拳銃を身につけているよ。
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それは過去のトラウマがあるからだね。
目の前で家族を殺されてしまったけれどなすすべがなかったという・・・。
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また、大柄のイーストウッドには拳銃がすごく似合ってしまうというか、なじんじゃうんだよねえ。
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「グラン・トリノ」の非武装までの道のりは遠いなあ・・・。
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女優ソンドラ・ロックとの初共演作なんじゃないかな?
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そう、ここでは変に弱弱しくもなく、かといって男勝りでもない。
ちょっと風変わりな雰囲気の女性を演じていますね。
興味を引きます。
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そのせいかこの後、結構共演が続きますよね。
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はい、その話はまた今度にしましょう。
1976年/アメリカ/137分
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、チーフ・ダン・ジョージ、
ビル・マッキニー、ジョン・バーノン