ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

日本の非党派投票率は高い 日本を支配するのはメディアか?

2011年01月08日 | 時事問題
asahi.com 2011年1月8日6時18分
「地域政党」ブームなぜ? 既存政党への不信感追い風
 4月の統一地方選を控え、「地域政党」の結成が相次いでいる。河村たかし名古屋市長の「減税日本」や橋下徹大阪府知事の「大阪維新の会」を代表格に、議員や各種選挙の立候補予定者も地域政党を結成。既存政党への不信感を背景にした動きで、「老舗VS.新興勢力」の対立軸を浮かびあがらせている。

衆議院選挙で2001年自民党小泉が300議席を取れば、2009年民主党鳩山が300議席をとる。野党のときは120議席足らずである。政党の固定票は60%くらいではなかろうか。あとの40%は良くも悪くも浮動票であり、天気次第、新聞次第でどちらにでも動く。そういう意味で選挙を支配しているのは、政治力ではなく、時のメディアのご意向次第であるといってもよい。メディアは選挙前から歌謡曲人気投票のような「世論調査」という世論誘導をひっきりなしにやり、その雰囲気で選挙の票が雪崩を打って移動する。哀れなのはメディアのおこなう世論誘導に支配される「愚民」である。この愚民選挙を免れるには選挙に行かないことに限るが、メディアは寝ている子を起こしにかかる。ではメディアを支配しているのは何だろう・・・資本の論理か官僚であろうか?

読書ノート J・S・ミル著 「自由論」 岩波文庫

2011年01月08日 | 書評
個人の自由と多様な才能が社会の発展の原動力 第11回

2) 幸福の要素としての個性について

 人の能力と個性の多様性は人類の進歩と文化発展の原動力となる。人は自分自身の責任とリスクにおいて自由を実現しなければならないことはいうまでもないが、他人に害を与える行為は制圧される。個性の自由な発展が幸福の主要な要素である。個性を育てる目的は、能力と活力のある個性をもつことであり、そのためには自由と状況が多様である事が必要である。個人の独創力を生む根源である。従来の経験を自己独自の方法でもって利用することは、能力の成熟期に到達した人間の特権である。自分の計画を自ら選択することが、能力を発揮する前提である。それは人間そのものであり自己の知性を発展させることにつながる。精力的に活動する天性は、進歩の原動力である。独自の欲望と衝動を持つ人こそ個性的な人間であるといえる。しかしいまや社j会の力は個性を征服しているが、それは個人の活力の欠乏なのである。新教徒の偏狭な人生観と禁欲主義は萎縮した人間性を作り出した。人間の天性は抑圧されるためにあるのではなく、他の目的のために活躍するためにある。個性の発展は社会発展と同一である。ただ個性だけによって人は発展する。天才の本当の意味である思想と行動における独創性こそが人類の発展の要である。ところが凡庸な精神(世論)が世を支配していると、凡庸な民主制(大衆政治)となる。「英雄待望論」を是認するわけではないが、思想的に卓越した立場にある人のはっきりし示された個性がその傾向を訂正できる。それには不寛容を排して、慣習とはちがう事柄に対して可能な限りの自由の余地を与えることが肝要である。
(つづく)

文藝散歩 永井荷風著 野口富士夫編 「荷風随筆集」 岩波文庫

2011年01月08日 | 書評
永井荷風の江戸文学趣味と淫靡な世界 第26回

Ⅱ) 自伝的小編 (2)

十九の秋
 荷風先生の父は漢文の学殖の深い人で、漢詩や漢文のには少年時代から親しんでいた。父が文部省を辞め日本郵船という運送会社に入り、上海に転勤した年明治30年9月に、19歳のとき両親とともに上海旅行に赴いた。父は上海の責任者であったのでアメリカ租界にあった宿舎は立派な洋館であった。中国人の原色主義の強烈な色彩に驚きながら、上海で遊び、母とともに帰国した。漢文化にわが身を曝した最初の時であった。
(つづく)

筑波子 月次絶句 「中 庸」

2011年01月08日 | 漢詩・自由詩
煌煌旭日及新年     煌煌たる旭日 新年に及び

瑞色東風生凍煙     瑞色東風 凍煙を生ず

満腹野肴無冗食     腹を満たす野肴 冗食無く
 
沾喉家醸有余銭     喉を沾す家醸 余銭有り

 
○○●●●○◎
●●○○○●◎
●●●○○●●
○○●●●○◎
(韻:一先 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)