ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

舛添氏入閣という線はあった

2011年01月21日 | 時事問題
asahi.com 2011年1月21日8時16分
内閣改造、声かからず「首相にしたい政治家」勢い今は昔 
新党改革代表の舛添要一・元厚生労働相(62)と菅政権との距離が開きつつある。先の内閣改造では取りざたされた入閣はなく、いまや新布陣を「改造の意味がない」と酷評する。「首相にしたい政治家」の第1位と言われたかつての勢いには陰りが見え、「首相への道」を根本的に描き直すしかなさそうだ。14日の改造内閣に舛添氏の名前はなかった。舛添氏は、与謝野馨経済財政相の入閣に水面下で動いた首相側近の北沢俊美防衛相とも極秘で接触したが、ある閣僚の関係者は「東京都知事選への対応やポストで折り合いがつかなかった」と証言する。

舛添氏を民主党内閣の中核に据えたかった。自民党の闇を代表する小沢氏を切って、舛添、与謝野など良識実行組を入閣されば民主党はずっとよくなる。

読書ノート 中村桂子著 「自己創出する生命」 ちくま学芸文庫

2011年01月21日 | 書評
生命の普遍性と多様性の源としてのゲノム論 第9回

4)「普遍と多様・スーパーコンセプト」という知の体系

 1960年代から始まった生命科学の発展と歩調を同じくして、日本の高度経済成長が目覚しかった。それも1980年代には”Japan as No.1”といううのぼれとバブル経済となって崩壊した。そうして反省が始まった。反科学・技術という動きがカウンターカルチャーとなり、現代文明批判にもつながっていわゆる「ニューサイエンス」と呼ばれる動きもあった。DNA研究は組み替えDNAを開発し、バイオテクノロジーという産業が雨後の筍のようにに出ては潰れた。過剰な期待と不安をもたれたのだ。これらは技術革新であるが、科学の本質の革命はなされていない。生命倫理は二元論対立を生み、機械論敵自然観はサイボーグの方向を目指しているのではないか。科学技術と現代の価値観は硬く結びついている。それは進歩であり能率である。それらの価値観に対して生命誌は進化、プロセスの価値観を目指したいという。質の変換、多様性の関係が主軸となる価値観である。ギリシャ文明から始まる理性の時代に先行していたのは生命の時代である。養老孟司著「唯脳論」において「我々はいまや人工物で埋め尽くされた脳の産物の中で生活している。これを脳化社会という。進化の過程で脊椎動物は脳化と呼ばれる大きな脳を持つ方向に進化した。脳は身体を統御し支配する器官である。さらに身体の延長として環境を統御し支配しようとする。」といい、中村氏は「環境問題は脳とDNAの相克である」といった。この章で中村氏はかなりのページを使って形而上学(哲学)をレビューしているが、突込みが残念ながら浅い。自然哲学から神を追い出したのがダーウインの功績である。中村氏は「生命に関して自然哲学を突き詰めていった結果、自ずと自然誌的な視点が生まれた」というが、本当に自然哲学の流れの後に生命理解が生まれようとするのだろうか疑問に思われる。
(つづく)

文藝散歩 永井荷風著 野口富士夫編 「荷風随筆集」 岩波文庫

2011年01月21日 | 書評
永井荷風の江戸文学趣味と淫靡な世界 第39回

十日の菊(大正12年11月)

 大正12年9月、震災後大阪に疎開された小山内薫氏がプラトン社の主を連れて来訪された。目的は荷風に小説を書く事を勧めるためである。「十日の菊」と題したのは重陽を過ぎた日の旧友の来訪を喜ぶためである。荷風は築地にいたころ「黄昏」という小説を物にできなかった。その理由は荷風には人物(女)の心理描写が出来なかったからであるという。やはり人物を描けなくては小説にはなるまい。およそ芸術の政策には観察と同情が必要である。小説がかけないという題であるが最後には、原稿用紙は和紙でなければいけないという話になる。当時和紙の原稿を使っていたのは、荷風と生田葵山の二人きりであった。千朶山房氏は無罫の半紙に毛筆で楷書を書く書体に定評があった。荷風先生は梔子(くちなし)の実を擦って顔料とし、その汁を絞って摺った原稿罫紙に筆を取る心は凄絶なりと自讃されている。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「大 寒」

2011年01月21日 | 漢詩・自由詩
七十衰翁獨把竿     七十衰翁 獨り竿を把り

一双落雁渡江干     一双落雁 江干を渡る

狂風烈烈吹蒼浪     狂風烈烈 蒼浪を吹き
  
密雪蒙蒙送大寒     密雪蒙蒙 大寒を送る


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(韻:十四寒 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)