筆者は、午前0時を回ったところでラウンジを出て110番ゲートに向かった。0時12分にゲートに到着したが、搭乗口周辺には誰もいない。ただ、待合室の壁際にもたれかかるようにして待つビジネスクラスの客らしきおじさんが一人だけいた。0時15分、筆者はビジネスクラスの待合レーンの先頭に付けた。すると、後方で楕円形になりながらゲートを取り囲むように控えめに待機していたビジネスクラスの客達が一斉に筆者の後ろに並び始めた。筆者はまるでマラソンや競馬のペ-スメーカー役さながらである。人間の集団心理として、搭乗アナウンスが始まらないうちに搭乗レーンに並ぶのは気が引ける。国内線ならば我先にと先を急ぎ出すエコノミークラスの客でさえ並ぼうとしないのに、片道40万も支払う気位の高いビジネスクラスの利用客がそんなはしたない真似をするはずがない。だが、筆者の心臓には毛が生えているので常にトップを走るのを至上命題にしており、佐渡の翼教の教祖ゆえそれが義務付けられてもいる。
搭乗予定時刻の5分前である0時25分、ついに搭乗レースの火ぶたが切って落とされた。まずダイアモンド会員の優先搭乗のアナウンスがあり、ほどなくして「これがダイアモンド会員か?」と首を傾げたくなるような薄ら汚いハーフパンツを穿いたおじさん二人組が搭乗口に駆け付けて来た。しかし彼らが、確認用のパスポートの取り出しと提示にまごついていたため、見切りを付けた係りのおねーさんは隣のビジネスクラス用の搭乗口へと即座に移動した。筆者はそれを見るやチャンス到来とばかりに、搭乗口のバーコードリーダーパネル部分にピタリと体を寄せ、その前に控えていたグラウンドスタッフのおねーさんに素早くパスポートと搭乗券を手渡した。そしてついに国際線でも見事に搭乗レースに勝利した後、筆者は0時27分、勝ち誇ったかのように静かに心の中で雄叫びを上げながら、2階にある搭乗橋へと向かうエスカレーターを下った。筆者にはダイアモンド会員の追撃を確認するため後方を振り返る余裕すらあった。そして、左右に分かれた搭乗口の左手へ向かい、「すいませ~ん、お写真撮らせて下さあ~い」と言いながら立ち止まり、恒例となった、出迎えチーフパーサーさん撮影を行った。このCPさんの名札は見忘れたが、機内のトイレから出るたびに顔を合わせたので、その都度、躾の行き届いた息子が母親に言うような口調で「トイレの中は綺麗にお掃除しておきましたからね」と言っておいた。チーフパーサーは乗務経験が10年以上あるCAさんの中から選ばれる。彼女らは、若いCAさん達を束ねるまとめ役であると同時に、常連客や要注意客のリストを元に、「あのお客さんは注文が細かいから気を付けて」とか、「あの客はシャンペンのドンペリを必ず頼むので用意しておくように」などと細かな注意を与える役回りも演じなければならない。CAさんの人数は予約した客の数に応じて増減されて配置される仕組みになっているそうで、9月14日のANA203便フランクフルト行きのビジネスクラスは満席(全46席)だったが、CAさんの数は確認出来た範囲で6名ほどだったので、客8人に対し1人の割合であろうか?ちなみにファーストクラスは客3名に対し1人の割合でエコノミークラスでは客50名に対し1人の割合の航空会社が多いと言う。
筆者は今年のお正月は、最高気温が20度(12月31日)と16度(1月1日)と言う、暖かい沖縄の「ブセナテラス」で迎えました。
この画像は振る舞い酒をする着物姿のホテルスタッフです。
振る舞い酒、上記の三枚はニコンD810で撮影した
午前0時12分の110番ゲート
午前0時15分に、この辺で先頭に並んだ
飛行機の搭乗口は2階にあるため、出発階の3階からはエスカレーターを下って搭乗する
筆者は勿論左手へ進んだ