3月下旬のとある日、筆者は新宿西口のヨドバシカメラの近くにある南仏料理のお店「ル・クープシュー」を訪ねてみた。午前11時半丁度にお店に到着した。ランチは前菜、スープ、メイン、デザート、プチコーヒーの組み合わせで、1680円という安さだ。メインは魚か肉のどちらかを選ぶ形式。本日の魚はスズキで肉はポークだった。新宿西口には食べ物屋は腐るほどあるが、いずれもチェーン店が多く、そのほとんどが激安店だ。気軽にあるいはかしこまってフレンチと言ってもそう滅多やたらとお店があるわけではない。そのほとんどが百貨店かホテルの中にしかないのが新宿である。そんな中、このお店は30年近くランチを割安な価格で提供し続けている稀有な存在だ。東日本大地震発生から2週間以上が経過していたので、カウンター席はほぼ満席で、予約客がひっきりなしに訪れ、地下一階へと降りていった。
フランス料理屋なのに珍しくカウンター席が11席ほどある。左奥には赤いテーブルクロスを敷いたテーブル席が何席かあった。お店の前に掲示されたメニュー表には前菜は帆立のムースと記載されていたが、実際はサーモンとポテトのグランナーダだった。うん、塩味がほどよく効いて普通に美味しい。スープはかぼちゃのポタージュスープ。ほんのり甘いかぼちゃの美味さを楽しめる。メインはスズキのソテー、エストランゴソース(画像)と言うのを選んだ。厨房内では二人のシェフが手分けしてお料理を作っている。メイン担当のお兄ちゃんシェフは、フライパンにバターの角切りを敷き、バターが溶け始めたら、スズキの切り身を4つほど乗せてまとめ焼きをしていた。焼きあがった順番に一つづつ取り出して盛り付けをするが、火入れ加減は全て均一になるように仕上げている。その勘所の押さえ方はプロの技である。エストラゴンソースとはバターライス風味のソースであり、塩味を効かせてある。表面がパリっと焼かれたスズキの身には白身魚独特の旨みが濃縮されていて大変に美味しかった。デザートはココナッツのブランマージェ。コーヒー同様ミニサイズだがほどよい量で完食した。手軽にそして気軽にフレンチが楽しめる「ル・クープシュー」さんだった。