昨年の暮れも押し迫った12月30日、筆者はいつものように東京発9時12分のノンストップ便に乗車し、定刻どおり10時49分に新潟駅に降り立った。タクシーでホテルオークラへと向かったが、まだ11時だ、ホテル内のレストランの開店時間まで30分もある。そこで一計を案じた上、歩いて新潟三越まで行く事にした。店内には買い物客はまばらで、しかも客層は圧倒的に中高年層で占められていた。何とも老人臭い百貨店である。佐渡へ行く前から早くも佐渡に着いたような感じがした。筆者は真っ直ぐ8階のレストラン街へと向かった。鰻屋、寿司屋、ファミリー向けレストラン、そして中華料理屋の4店舗があった。都心の百貨店のような洒落た感じは全くせず、全体が実に陰気臭いのだ。筆者は中華料理のお店「三彩」(さんさい)の前の牡蠣料理の看板が目に留まったのでこのお店に入る事にした。午前11時20分頃だったが、店内には客はカップル1組だけしか居なかった。牡蠣あんかけ飯(1100円)を注文したら何と4分後にお料理が出来上がった。えらく早い!味はと言うと、佐渡の八幡の「洛陽」さんとほぼ同じレベルで、万人向けの美味しい味付け方だった。そうだな、銀座アスターの中華惣菜と似たような味だ。おおぶりの広島産の牡蠣が5個入っていたし、ご飯の量もほどよい。三越の割には美味しいじゃないか!商品構成はいつ潰れてもおかしくはないようなダサさだったが、レストランは意外にも美味しかった新潟三越だった。
食べ終えた後に時計を見ると針は11時40分を指している。乗船予定の12時35分発のカーフェリーの出航まで充分時間的な余裕があったので、徒歩で新潟港ターミナルまで行く事にした。小雪がちらついていたが、次第にそれも止み、イザイアのカシミアニットジャケットの上にスタイルゲイトのロイヤルブルーのシングルチェスターバリーコートを羽織っていると暑いくらいだ。30分ほどで到着した。筆者は新潟市内では雨の日以外は極力バスやタクシーを利用せずに歩く事にしている。この日の沖合いの海上は多少うねりがある程度で大したことは無く、船内は帰省客で溢れかえっており、一等、特等供に満席であった。