う~ん、行方不明となった、伊藤博文(ひろふみ)・静岡県警 刑事部長(当時)の死体が、目撃者数名から発見の通報が寄せられ、県警が、その現場に大挙して駆けつけ、まぎれもなく自殺と断定し、検死の結果も踏まえて、公表。
私自身も、そうかなあ?と、当初は少なからず「公式発表」から出てきた「事実」なるものに疑問を感じ、真実までたどり着けずとも、事実までは掴みたい!と、取材開始。
そして、追加、追加も含め、知り得て、掴んできた事実を、記事化した。
その後、週刊新潮が、「まだ、あの女と別れてないの!」と、「不倫」を妻に激しくののしられ、叱責されたことを理由に、自ら命を絶ったとの記事を掲載。
読んで、?????。
ネット上の無責任なコメントもあった。
その本誌掲載後しばらくたって、短くまとめられたネット記事をだけを一読した者たちに酷評されてはいたものの、今だ「不倫」と共に、暴力団員による他殺説が、根強い。
どちらも、根拠は、とても薄い。
不倫は、雑誌。他殺は、暴力団壊滅の指揮を以前、役職上、とっていたからという推測。想像上の、推理。
伊藤の所持品は、ひと箱のタバコと、ライターだけ。
自殺を試みるまでに、樹の根元で吸ったタバコの味は、いったい、彼にとってどのようなモノであったのだろうか・・・・・・・。
妻が、翌朝、夫について「出勤しない」むね、県警幹部に電話で伝え、さらに「事情を話しますので、自宅に来て欲しい」と話した。
その内容から、妻は場所こそ分からないが、夫の博文は自殺したと想うむね、告げたときく。
その後、万に一つの可能性も含め、家族全員を疑う訳では無いが、妻と娘2人のその夜からのアリバイも、さりげなく問い質している。
自殺ほう助も視野に入れてのことだ。
その疑いは、3人とも、晴れたという。
では、と、この報道を現地でした、静岡県で警察担当として、事件を日々追っている、現場の現役記者に多く当たった。
いずれも、新聞やテレビ局の、地元の記者クラブ村の村民。
この者達は、県警の警務部警務課長からの公式発表を受けて、ソレを報道。
それ以降、追っかけ記事・ニュースを、一切どこも流していない。
その段階で、何か、心に引っ掛かったままの疑問は、残っていないだろうか?
例え、聞いたうちの1人でも、ソレがあるならば、再び自殺現場に行ってみようか、と考えていた。
さらに、間違いなく、またも居留守を使われるであろうが、妻のいた伊藤宅へと、無駄足と知りつつも訪ねてみようか?と。
しかし、夫が死んで約1か月。
あの激しいと評判をとった性格からして、すでに、あわただしく転居して、今は本当に不在の可能性が、経験上高いが・・・・。
まず、「不倫」からいく。
県の刑事部長として、浜松中央警察署から転任して、たった1年。
そこで、不倫を妻が気付くほどの、明白な仲になる女性が、果たしていたであろうか?
静岡県警担当の記者たちに、聞きまくった。
記者クラブ村に巣食う悪しき体質が、ココでも根強く、苦労したが、気にせず、聞き込んでいった。
「なんで、今さら? ナニ、聞きたいの!? 俺らに聞くって、やり方、間違っていない!?」と、のっけから居丈高な記者も多かったが・・・。
「ん・・・・無い、無かった。そう言い切れますよ。みんな、そうじゃないかなあ・・・・」
「噂も含めて、そんな相手が浮かび上がって来なかったんですよ」
「マラソンしてたりねえ、ハイキングのようなこともやっていたようですし・・・・健康的な休日をしていた人だったし、任務終えると、殆んどまっすぐ帰宅していたしねえ。それも、歩いて。いわば、ウオーキングですよね。第一、オンナと会う時間、一緒に寝る時間、無かったはずですよ」
「飲み屋などにも、行かなかったし。まあ、職務上、自制していたのかもしれませんが。繁華街でも、当たってみましたが、それらしい女将やママ、ホステス、風俗嬢、などが、まったく出てこなかったんですよねえ」
個人的にも、聞き込みなどで伊藤部長と接触することも無いうえ、親しい記者は皆無だったとはいえ、ココまで、無い、無かった、あり得ない、出てこなかったが相次ぐと・・・・・・・・。
また、新潮がそれらしく匂わせた、県警内の女。
確かに、警察というところ。あらゆる職場の中で、不倫が多いことは、すでに書いた。
だが・・・・・これもまた、改めて記者クラブ村民たちに聞いてまわったが、皆無。もっと正確に表記するなら、確率97%というところ。
では、長い間の「腐れ縁」「続く遠距離不倫」の可能性を求めて、再び、浜松中央警察署の署長時代には?
さすがに、ここでも無かった、出てこなかった。
「署長に取材で個人的に当たるってことは、まず、通常無かったもんでねえ」
まあ、それはそうであろう。
取材のセオリー通りなら、広報も兼務している副署長、ないしは、警務部長や、警務課長に当たるのが普通なのだから。
とはいえ、ほぼ全員が聞き込んではいた。
「出てこなかったんですよ。相手どころか、女の存在すらも」
「堅物とでも、言うんでしょうかねえ」
「仕事上のミスも浮かんでこなかったし、風俗にも、気まぐれでさえ、行ってないし。まあ、署長が、その手の女性に入れあげていたら、大変なことになるうえ、ヤクザに、すぐ噂は広まりますからねえ・・・・」
さて、次は、「他殺」。
ネットで、まるで安易なストーリーの「2時間サスペンスドラマ」の筋立てのように出てきたのが、暴力団員による、あざやかな拉致、そして他殺。
その後、首つり自殺に見せかけて、山中に捨て去ったというものらしい。
つい最近、上納金の高騰などをまた原因として、全国組織の広域暴力団「山口組」が、再び分裂。
その山口組は、ここ静岡県下でも、傘下にある。
最大手は、「六代目山口組」。コレは県下全域に根付いている。さらに、「神戸山口組」、「稲川会」、さらに「極東会」が、4本柱となり、それらの傘下の構成員、準構成員が存在していることは事実。
だが・・・・・一応、自殺と発表しながらも、暴力団担当の猛者の刑事たちが、先の4本柱を軸に、行方不明になった夜9時からの行動、車のナンバー照合など、構成員たちの行動を水面下で捜査したが、出てこなかった。
なにしろ、一報の記事でも書いたが、車の車輪の跡、多くの足跡が無かったのだから。
首を吊ってまでした死んだ場所は、すでに記事化したように、自宅がある葵区から歩いて2キロメートルほどの所にある「賎機山(しずはたやま)」
その山の中。
と書くと、さぞかし登山に適した高山と思い込みがちだが、この山。
実は、標高171メートルしか無い、ハイキング愛好者の山なのだ。
だから、伊藤自身、よくココにハイキングに行き、足腰も鍛えていた。
上空から見ると、コレこのようにうっそうと、すき間なく繁った杉の樹が埋め尽くしている。
しかし、歩いてなだらかな自然道を歩き登ると、このようなカンジ。
山の中段には、このように静岡市内がほぼ一望出来るところもある。
小公園、見晴らし良い展望台、城跡のクイ。
だが、午後の9時過ぎともなると、真っ暗闇だ。
この写真の様な農路、道。大人数で遺体をかつげば、足跡は残っていないはずが無い。
車道、らしこところもあり、突っ込んで走れば行けないコトは無い。警察の捜索車両が入って、遺体を収容した際も、過日書いたが、警察が調べ尽くしている暴力団の車両のタイヤ跡すら無かった。
赤いジャンパーに、緑色のズボンを着用した遺体が、樹に引っ掛けていたロープが外れて、落下。
うつ伏せの状態で、息絶えていた。
検死からも、他殺の線は、まったく出ず。
番記者たちも、その場所には足を運んでいた。
「他殺? ありえないよ。コレに関しては、100%無い!と言い切れるね」
「俺らも、一応、発表を疑ってと言うか、現場に踏み入って、調べたけどさ、自殺以外には考えられないよ」
「なに、まだ調べてんのかよう!? アレは、あれでオシマイ。事件性、無し! そういうこと!」
・・・・・・・という結論です。
妻と娘は、今後も、話しそうにもありません・・・・・
それぞれの胸の中で、一生、引きずって生きていくのか、あっさりしたものなのか。
んんん・・・・・今の段階では、ここでは、書くことが出来ません