転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昨夜は、薬研堀のLive Cafe Jiveで、
仲井戸 "Chabo" 麗市のライブを聴いた。
ベースの早川岳晴と二人での全国ツアー、
6月からのpart 6のライブの初日がこの広島だった。

『Born in 新宿』で自己紹介のように始まって、
歌詞で改めてチャボが還暦目前だと知った。
だからツアータイトルがGO!!60なのだ。
このライブのシリーズで60回公演を目指している、
とのことだった。

それにしてもチャボは、なんて素敵な「還暦」なんだろうか。
私は昔から、チャボのギターの、リフのセンスが好きなのだが、
それは健在どころか、ますます磨きがかかって、自由自在だった。
また、チャボの歌は、例えば清志郎とは違ってどんどん内攻する世界なのだけど、
その潜在的なエネルギーの大きさは、年齢のとともに高まってきたと思った。

早川さんのベースが途中で弦が切れてしまったが、
残りの三弦で曲の終わりまで頑張って、別のベースに変えた。
ウッドベース(つまりコントラバスだ)はデリケートで調整が大変なので、
早川さんは今回、ツアーに持って来ることには難色を示したが、
ちゃんとこうして、弾いてくれることになったとチャボが言った。

「泉谷(しげる)くんなんか終わると弦が全部無かったりする」
とチャボが言うので大笑いだった。
「泉谷にとってギターは打楽器だから」

『BLUE MOON』はチャボいわく「課題曲」で、
組んだ人とは必ずこの曲をやって、その人がどんな音楽が好きか、
どんな人生観を持っているか、などを感じ取るようにしているそうだ。
チャボみたいな人に、演奏を通してあらいざらい見られるのは、
もし私が弾き手だったらツライな、と思っていたら、
「KYON(川上恭生)とか、梅津(和時)、片山(広明)、
・・・いろんなヤツとやった。ロクなヤツらじゃなかった(笑)」

『ホーボーへ』『Gibson』『BGM』『アメリカン・フットボール』
『ガルシアの風』『夏の口笛』『平和』『ホーボーズララバイ』、
・・・等々、たくさんの自作曲、カバー曲、それに朗読詩『読書する男』。
チャボの60年代の思い出、出会った音楽、心惹かれたアーティストたち、
ジャンルを問わず、いいと思ったらあれこれ取り上げてきたこと、
などを、チャボは次々と話してくれた。

途中で、チャボは、清志郎のことに触れた。
話そうと思ったら話題にしよう、
話す気持ちでなくなったらやめればいいんだ、と思って来たが、
いつもやっぱり話そうという気がするので、続けている、
という意味の前置きをして、清志郎との長い友情のこと、
清志郎の最期に間に合った晩のことを、チャボは語った。

そして、『毎日がブランニューデイ』を歌った。
清志郎との最後の共作、良いのが出来たと二人で握手した曲。
復活祭のときにも演奏して、途中で何回か、
いいぞ、と互いに目を見交わしたナンバー。
80年代は、清志郎の横でギターを弾くのが本当に好きだった、
とチャボは言った。
それから、『君が僕を知ってる』は一緒に歌ってくれと言われて、
会場の皆が歌った。私たちは自然に涙が流れて最後は歌えなくなった。
清志郎は今も居るよ!と会場から声が飛んだ。
チャボは泣いていなかった。
上でキヨシが聴いてる、というように幾度も頭上を指した。

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・・・いけない、あまり書くとネタばれになってしまう。
もう、なってるか(汗)。
実は、この広島は二日連続の公演で、
本日夜にもう一度、チャボのライブが同じ会場であるのだ。
だからこれから聴かれる方がここを読まれたら、
ライブ前に中身がわかってしまって、いけないかもしれない。

ただ、多分、昨夜しか聴けなかった曲が、ひとつあった。
これは、土曜のライブでしか、やらないのだ。
『映画に行こう』、というタイトルで、CD化はされていない。
「いつもならここで『ティーンエイジャー』をやるんだけど、
きょうは土曜だから、これやる。・・・すぐ終わる」
と言ってチャボが歌い始めたとき、私は懐かしさで胸がいっぱいになった。

♪今夜もひとりで いるのかい
♪こんなに長い 夜を

それは今から二十年以上前、私が東京でチャボのライブに行っていた頃、
ときどき、最後に演奏されていた曲だった。私は、覚えていた。
それほど、当時から私にとって印象的な曲だったのだ。

♪さぁ いい服着てさ 出かけようじゃない

と言って、土曜の夜「映画」に行こうと誘う曲なのだが、
最後が、いつもご当地ネタなのだ。昨日のは、

♪広島ーーー!!・・・・・・サロンシネマ、あたりへ~

だった。
サロンシネマ、ぴったりだ。
映画館の選び方まで抜かりのない、やっぱり、さすがはチャボなのだった。

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ついでに、これはネタばれどころか『宣伝」なので書いておこう。
このたび、チャボの詩集が出版されることになった。
全集としての企画で、これまでの作品のほぼ全部が掲載されている。
『My R&R 仲井戸麗市全詩集 1971-2010』
(株)ロッキング・オンより6月30日発売 2940円。

「渋谷(陽一)、あんな男でも役に立つことがある(笑)。
渋谷、ほんとにありがとう」

とチャボは言った。同時に、カメラマンであり仲井戸夫人である、
おおくぼひさこさんの写真集『BOYFRIEND』も発売されるそうだ。
こちらは、ぴあ株式会社より、6月28日発売、3000円。
タイトルは、ご夫婦で話し合っていて、どちらからともなく、
この言葉が出てきて、決まったものだということだった。

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