転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



私はかつて、うちの主人が4月から11月までは半袖で暮らせる、
と某掲示板に書き込んで、笑ってやったことがあった。
笑いのニュアンスとしては、暑さに対する耐性のなさ加減と、
年の三分の二は「半袖Tシャツ」さえあれば済ませられるケチぶり、
などを、親しみを込めてネタにした、というつもりだった。

しかし、今年の私は主人を笑えない。
10月も半分終わったというのに、私は未だに半袖で過ごしている。
このぶんでは、11月になっても着ているのではないだろうか。
「世の中がようやくワシの水準にまで追いついてきた」
と主人はまんざらでもない表情だったが、しかし今年の暑い秋は、
ご本人には夏と変わらず、未だに彼はひんやりした廊下の床で就寝する。
何も敷かず何も掛けず、枕だけ置いて、人工大理石の床の上に直接寝るのだ。
布団だと熱が籠もってすぐ暑くなるので、眠れないとのことだ。
この寝方は彼の盛夏の定番だったのだが、今年はまだ終わっていない。

「竜崎理事(@『エースをねらえ!』)は、大理石の床で寝たりせんよね」
と昨夜も娘に言われていた。
主人は娘を『お蝶夫人(竜崎麗香)』のごとく品格ある令嬢として育てたい、
と考えていたのだそうで、そうならなかったのは私のせいだと言うのだが、
しかし半袖Tシャツの腹を出して、廊下に枕をじかにおいて寝そべり、
『少年ジャンプ』を読みながら眠りにつく、……などというのは、
竜崎理事なら、きっと想像もお出来にならない寝方でしてよ。
理事は書斎でガウンを着、スタンドの灯りで百科事典をお読みになるのです。

主人はまた、先週の日曜など、朝から市街地へ遊びに出かけ、
昼近く、寝坊の娘に『ネットカフェに行かんか』とメールをしてきた。

娘「おとーちゃんが、まんが喫茶行かんか言うけー、行って来る」
私「昼は」
娘「そのへんで、うどんでも食べることになるじゃろ♪」

娘は、喜々として出かけて行った。
どう考えても、竜崎邸の、
竜崎麗香『お母様、でかけて参ります。お父様がお食事に誘って下さいましたの』
竜崎夫人『それはいいこと。行っていらっしゃい』
という会話、およびその後のフランス料理+シャンパン、とは、雲泥の差だ。
まあそういう私だって、竜崎夫人のように、
髪をアップにして自宅でツケサゲを着込んでいる、
という暮らしは出来ていず、前述の半袖Tシャツにハーフパンツで、
そのまま布団を敷けば即、昼寝、という有様だからお互い様なんだけど。

竜崎理事にはあり得ない、主人のもうひとつの習慣は、
『腹鼓(はらつづみ)を打つこと』だ。
前述のように半袖Tシャツ一枚で、床に直接寝ころんで漫画を読むとき、
主人は、よく腹を出して、ぱーーん!ぱーーーん!と叩いている。
これが、あちこちにこだまし、響き渡るような大きな音なのだ。
自称、『伝説の腹鼓(はらつづみ)師』。
このワザは、一子相伝なのだそうで、いずれ娘が受け継がねばならない。
娘は気が進まないようである。

その主人が、昨日、アオくなって帰ってきた。
腹鼓師は自分だけだと思っていたのに、八丁堀で同業者に会ったという。
それはやはり中年の太った男性で、普通のジャケット姿のまま、
本通り界隈を歩きながら、両手で腹を、ぱん、ぱん、と打っていたそうだ。
その巧まざる、軽やかな、妙(たえ)なる響き。
究極奥義であったそうだ。

┐(-。ー;)┌

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