転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昨夜は、月組『ダル・レークの恋』広島公演夜の部を観た。
思いがけず見応えがあって、いい舞台を観たなと思える公演だった。
あさこ(瀬奈じゅん)率いる月組は、実に面白かった。
前に、月組エリザベートをDVDで観たときも、
私は、あさこちゃんって結構良いじゃないかと感じたものだが、
つまり彼女のことが、私は割と好きなのかも(^^ゞ?と思ったりした。

(以下、ネタバレを含みます。このあとご観劇予定の方はご注意を)

実は私は、この作品については題名しか知らなかった。
初演の春日野八千代先生の時代には観ていないし、
再演のマリコ(麻路さき)さんのときには、
育児で観劇していない時期だったから見に行っていなかった。
だから昨夜は、ほとんど予備知識無しで観た。

一幕の初め頃は、まだラッチマン(瀬奈じゅん)は
することがほとんどなさそうだった。
むしろ最初のほうで私がまず面白いと思ったのは、
ベナレスの若い領主クリスナ(遼河はるひ)だった。
キャストも全然知らないで行ったので、誰が演じているかも知らず、
ただ、あの王侯貴族みたいな人は随分と品が良くておっとりしていて、
でも思慮深さや思いやりもあって、凄くぴったりな、良い感じだな、
と思ってみていたら、声で、あひちゃんだとわかったのだった。

ターバンを巻いているので、髪型で雰囲気を表現できないし、
さらにクリスナは身分の高い人なので、
丈の長い衣装しか着ないから、脚の動きも客席からは見えない。
男役の表現の多くを、ほとんど封じられたに等しい条件だったわけだが、
それだけでクリスナという役柄を伝えてきたあひちゃんは、さすがだった。
衣装の、なんという部分か名称がわからないが肩からかけている、
色の鮮やかな布を、クリスナはどの角度から観ても綺麗になるように
しかもごく自然な動作でまとっていて、こういう小技も良かった。
あひちゃんはフィナーレのショーになると、一転して、
長身を生かした妖しい男役になっていて、
それもまた「二度美味しい」みたいで、とても良かったと思う。

さて、それで、主演あさこちゃん扮するラッチマンなのだが。
これまたターバンなのと、割と「静」の演技が多いので、
一幕の前半くらいは大人しい印象があった。
だが、お前は詐欺師ラジエンドラではないかと、
憲兵隊から疑いをかけられ、その通りだと開き直るあたりから、
ラッチマンの人物像の奥行きが広がる面白さが出てきて、
あさこちゃんはこういうワルが巧いのだなとわかった。

そして、カマラ(彩乃かなみ)を抱く場面で
サラサラと自分のターバンをほどいて、
その下から豊かな黒髪が現れるところは、
ぞくぞく来るほど色気があって良かった。
つまり、あさこちゃんは「色悪」ができるのだった。

この時点で、ラッチマンは何者なのか、観客に対しては明かされていない。
低い階級の出の騎兵大尉なのか、前科十二犯の詐欺師なのか、それとも。
ただ、ラッチマンが男としてカマラを愛していることだけが、
あさこちゃんの演技からは確かにわかった。


(こんな調子で書いていたら、終わらない。続く(^^ゞ)

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