LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

30ktの突風が吹く砂漠へセスナ150で出動

2010-05-16 | Flight Log (同乗飛行)

この日の午後はKobaさんが飛ばすセスナ150のセーフティーパイロットをお願いされていた。生憎天気があまりよくなかったが、3000ft以下で飛べばVFRも可能で、エアスペースを避けながら上手く飛べばクロカンフライトも可能そうだった。とりあえず待ち合わせ場所のトーランス空港に向かうことにした。この時はグラマンを駆ってフラトン空港に居たので、手っ取り早くVFRでトーランス空港まで向うことにした。Rwy24から離陸し、そのまま西に向かって飛ぶ。2000ftくらいでレベルオフ、そのままロングビーチ空港 Class D Airspaceの北を飛び、コンプトン空港を目標に進路を取る。そしてLA Riverを越えた辺りからGoodyearの方に向って徐々に左旋回すると、大凡どこのAirspaceをバーストすることもない。Goodyearの上空1500ftくらいでトーランス空港管制塔を呼んだ。そうすると、fly mid field at or above 1500ft, enter Rwy29L left downwind, Rwy29L cleared to land、、、と願ってもない指示。Field まで1.5マイルくらいに来て、no altitude restrictionと管制塔。ここで降下、Left Downwindに入るべくスロットルを入れて45度くらいのバンクで旋回、そしてショートファイナル気味にRwy29Lに着陸した。楽しい!

Fuel Pit近くまでタクシーしていくと、Kobaさんが既にセスナ150をランプから引き出して給油していた。愛機グラマンはそのセスナ150のタイダウンスポットに置いておくことにした。早速セスナ150に乗り込み、トーランス空港を出発した。Right Downwind Departure、最初はコンプトン空港を目指して飛ぶ。

低気圧の不安定な気流でリフトとシンクがあり、かなり揺れるフライトとなった。こういう揺れは小型飛行機に慣れていない人ならば乗り物酔いしてしまうのだろうが、毎週末飛びまくるKobaさんや私にとっては眠気を刺激するような揺れでしかない。以前の私は小型機に乗っていて揺れがあると、”おぅっ!”などと声を出すほど恐がりだったが、慣れというものは面白いと思う。

2000ft以下でエルモンテ空港の南東を目指して飛び、ブラケット空港のClass D Airspaceの直近をかすめた。雲の高さ(MSL)は内陸に行くにつれて少し高くなり、この辺りで3000ftくらいまで上昇することができた。そしてオンタリオ空港Class C Airspaceの北を飛び、尾根を東へ進む。進行方向に然程低い雲もなく、これなら3000ftの高度のまま飛び続けてVFRでクロカンフライトが達成できると確信した。

ここに来て、せっかくならCajon Passの向こうに飛びましょうということになった。強烈な西風があり、Cajon Passの西の尾根にはCap Cloudsのようなものがかかっている。二人乗りのセスナ150で5000-8000ftにかかる雲の上まで昇れるはずもなく、ここは揺れるのを覚悟で雲の下をくぐってCajon Passを行くしかない。ちなみに、Overcastの雲がある時にCajon Passを低空で飛ぶのは無謀!だと思っている。現に数年前、そのような状況でチェロキーがCajon Passの尾根に激突している。この日はあくまでもScatteredからBrokenの雲があり、進路の視程が良かったというのが”GO”と判断した所以だ。

Cajon Passの中に入ると、とんでもない揺れ。ショルダーハーネスをきつくしていないと頭を天井にぶつけるほど。風向は一定しないが、Rotor cloudsのような旋回する雲が見える。西風で進路が北という状況だと、本来Rotorは時計回りになるはずだ。確かにこの日はRotor Cloudっぽい雲の下に入ると、右から飛行機をひっくり返されるような時計回りに旋回する気流があった。そういう場合、避ける方向は西だ。Kobaさんには操縦に専念してもらい、私は地形と雲を確認するナビを担当。木の葉のように舞うセスナ150だったが、無事にCajon Passを抜けて砂漠側に出ることができた。

砂漠側に出ると、とりあえずヘスペリア空港の上空を飛び、そのままアップルバレー空港を目指すことにした。AWOSを取ると、Wind 220 at 22kt, Gust 30kt, Wind shear、、、。ここは無理するべきじゃない。燃料ストップをしないといけないが、この日極めて風が強かったヴィクターヴィレ空港やアップルバレー空港を避け、ダゲット空港まで足を伸ばすという手もあった。しかし、とりあえずパターンだけ回ってみようということになり、アップルバレーに向った。

ASIを凝視していると、10ktくらい針が上下する。ただ、アップルバレー空港のRwy18 Left Trafficに入っていくと、風は強いがGustは大した事がない。風向は一定しているので、これは下りれそうだということになった。ファイナルでは強烈な向かい風で、ラウントアウトからフレアではホバリングしているかのような着陸となった。というか、フレアの時には地面に静態していたと思う。これには二人とも爆笑してしまった。

とりあえず給油、そしてその後でジェネアビセンターに向ってトイレ休憩とした。風は収まることなく、30kt以上あるのではないかというGustがガンガン吹き付ける。とりあえず風を見ながら離陸しようと、二人で機体に乗り込む。

ここで、ブォーッ!と左側から突風が吹き、なんと大人二人が乗り駐機中のセスナ150がグググと10度から20度くらい反時計回りに旋回してしまった!! ちょうどheading 300くらいに駐機していたのだと思うが、左後ろからの強烈な風でheading 280くらいになった。これには驚いた。

さっそくアップルバレー空港を離陸、Rwy18から滑走をはじめるとすぐに浮いてしまった。飛び上がってしまえば安心で、変なんシンクさえなければ怖くない。Ground speedは一時30kt台を示していた。70kt台のAirspeedは出ているので、30kt以上の向かい風だ。そして延々のCajon passを目指した。

帰りも頭をぶつけるような揺れだったし、1000fpmくらいのシンクがあった。IFRでフライト中にシンクに入ってしまうことが多々あるが、その際にはパワーアップとピッチアップでクリアランスや管制官から指定された高度を維持すべき。ただ、この日はSquawk1200のVFRフライトで、なおかつ雲を避けての3000ft AGLのフライト。シンクに入ればグライダーの考え方でシンクを避けるべきだと思っていた。変にシンクと戦いVyまでピッチアップ、そしてマックスパワー!としても、燃料満タンで二人乗りのこの機体では300fpm程度の上昇しか稼ぎ出せず、1000fpmのシンクに入れば700fpmで地面に向うことになる。つまり、戦えば戦うほど、長々とシンクに留まることになり、700fpmで地面が迫ってくる。ここはむしろグライダーのようにピッチダウンで高度を失っても速度を稼ぎ、Va以内の速度でシンクから早く抜け出したほうが高度ロスが少ない。この日はそんな事を考えながら、雲を見ながら、地形を見ながら、風を読みながら、右席からナビ役を勤めさせてもらった。

Cajon passを越えると揺れもマシになった。帰りもオンタリオ空港のClass C Airspaceの北を飛ぶ同じコース。ただ、雲の関係で2500ftの高度のままブラケット空港のClass D AirspaceのTransitionをリクエストすることになった。この辺りの無理をしないKobaさんの判断は賢明、飛び慣れた感じが伝わってくる。ブラケット空港をすぎるとそして高度を下げて南に進路を取り、LAX Class B Airspaceの下に入った。そしてGoodyear Fieldに向かい、ここでトーランス空港管制塔を呼ぶ。Wind 240でGust 22ktとのこと。Base entryでRwy29Rに着陸。接地の瞬間は左真横クロスウィンドだったが、ここは確実に決めていた。

この日のフライトは2.7時間だったが、実際の時間以上に内容が濃い!フライトだった


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