LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

2000年式のPiper Archer III は思ったよりしっかりした機体だった

2009-04-21 | Flight Log (同乗飛行)

飛行機を純粋に遊びと割り切って飛んできたパイロットとしては比較的色々な機種に触れる機会があったと思うが、訓練機の定番とも言えるPiperに関してはあまり乗る機会がなかった。Private Pilotの免許を取った時に通っていたフライトスクールにはPiper Cherokeeが1機あったが、整備でハンガー入りしていることが多く、同乗する機会もほとんどなかった。New Piperとなってから機種も一新され、とくにPiper Archerは外観から内装まで違うデザインを採用された。しかし、それらの新しい機種には同乗どころかまったく触れる機会がなかった。

そんな中、パイロット仲間のA先生が2000年型のPiper Archer (PA28-181) のチェックアウトを受けたとのことで、副操縦士席に座ってフライトすることになった。 Piper Ownerの反感を買うと思うが、私のPiperに対する印象はさほど良いものではなかった。フライトスクールに置いてあったPiper Cherokeeがぼろぼろだったというのもあるが、やはりBeechcraftなどの同クラスの機体と比べると廉価版という印象が否めず(Beech Bonanza VS Piper Saratoga、Beech Baron VS Piper Seneca等々)、かと言って訓練機としての普遍性や発展性という意味ではCessna172シリーズに及ばない。かなり初期からGarmin1000を搭載したCessnaに対し、PiperはAvdyneを搭載し、最終的に市場はGarminが席巻することになってしまった。結果的に多くの自家用パイロット達は積極的にAvdyne Glass Cockpitの機体を飛ばしたいとは思わなくなってしまった(Cirrus社の機体は別格だが)。色々な意味で、マーケティングが甘い会社、それによって市場で一歩遅れてとっている会社、そんな印象がPiperにはあった。

いよいよSanta Monica Airportに駐機してあるPiper Archerに乗り込むことになった。Preflight Inspectionをしていると、新しい!ということもあると思うが、機体の作りがしっかりしている印象を受けた。細かい作りがしっかりしているわけではないが、胴体や翼などの基本的な部分ががっちりしているように感じた。 いざコクピットに座ると、Multi-engineの機体のようにイグニッションキーが無いのが面白い。2000年式のArcherはドアもしっかりしており、これならドアロックのみでイグニッションキー無しの方式でも構わないと思った。

エンジン始動はオーバーヘッドスイッチのスタートボタンで行う。オーバーヘッドのスイッチの配列は左からエンジンスタート、プライム、バッテリーマスタースイッチ、オルタネーターマスタースイッチ、フュエルポンプ、マグニート左、マグニート右、ランディングライト、ポジションライト、ストロボライトとなっていた。エンジンはLycoming360だが、この年式ながらなんとキャブ仕様。この機体はHSIが驕られており、Garmin430が二機、エアコン!もついているという豪華仕様。 初めて比較的新しい年式のPiperのコクピットの使い心地を体験したが、計器にしてもスイッチにしても、何か一つ統一感が足りない。このあたりはAvdyneのClass Cockpit仕様になれば不満がなくなるのかもしれないが、このアナログ計器とGarmin430の組み合わせのパネルは配列として不満を感じるデザイン。例えばFuel Pressureなど比較的重要な計器が小さめなのに、Exhaust Gas Temperatureが大きな単一計器となっていたりするのが理解に苦しむ。ただ、想像していたよりもしっかりした作りの計器で、写真で見るよりも質感が高いパネルだった。

エンジンの始動はスムーズ、流石に新しいさを感じる。エンジンは3000時間以上使っているものだが、機体がしっかりしているので振動が少ないのだろう。ランナップを終え、SMO Rwy21から離陸。なかなかパワーがあるが、やはり前方視界の悪さが気になる。 この日の目的地はRosamond AirportとGeneral Fox Airport、7500ftまで上昇してからは雲の合間を飛び巡航、砂漠を目指す。Sierra NevadaにはCap Cloudsがかかり、完全にMountain Waveが出ていた。当然7500ftのエンルートでは所々激しい揺れがあり、なんとか目的地に到着となった。計らずもTurbulenceの中を飛ぶ事になったが、このPiperのしっかり感を感じるのにはちょうど良い機会だった。

良い所も悪い所も目についたが、全体としてはPA28という機体を見直した感がある。もちろん前方視界の悪さや機内幅の狭さなどは問題だし、そこそこの上昇力の割には思ったよりも速度の出ない抵抗の多い機体デザインは残念。プロペラの選択も影響しているのかもしれないが、明らかにインジェクション仕様の現行Cessna172SPより実用の巡航速度が遅いと思う。しかし、想像していた以上に堅牢な作りなのには感心した。速度を気にせず近場のVFRで使うならバランスの取れた機体だと思った。 高翼機に飽きたパイロットが気軽に低翼機を飛ばしたいというのなら、この機体は最適だと思う。個人的にはPiper Turbo Arrowのようなリトラクタブルギアのモデルに興味がある。ただし、現行のCessna172SP G1000とPiper Archer G1000のどちらか1機を只でもらえるというのなら、私ならC172SPを選択すると思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。