LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:本格的なIFRを久々に経験 第一話

2009-10-15 | Flight Log (機長)
本格的な低気圧の雲がロサンゼルスを被っていた。雲の高さは1000ft以上あるのでMissed ApproachになりそうなHard IMCという感じではないが、雲の質という意味では本格的と言っていいと思う。Pilot Reportを見ると、雲のトップの高さは5000ft弱。IFRで飛ぶには丁度良い日だが、どこに行くかが問題だった。できれば午前中だけのフライトにとどめたいので、近隣空港までのIFR Flight往復がいい。そうすると、ロングビーチ空港(Long Beach Airport / LGB)でILS Approach Rwy30、フラトン空港(Fullerton Airport / FUL)でVOR-A Approach Rwy06/24、ホーソン空港(Hawthorne Airport / HHR)LOC Approach Rwy25、トーランス空港(Torrance Airport / TOA)ILS Approach Rwy29R、いろいろと案はあるが、どれも打ったことがあるものばかり。せっかくなので、今まで比較的打ったことが少ないエルモンテ空港(El Monte Airport / EMT) VOR-A / GPS Approach Rwy01/19を打ってみることにした。

サンタモニカ空港に到着するとTwin Cessnaが離陸待ちをしていた。天気も悪いし、IFRの機体が多いのでもしかしたらかなり待たされるかな?と思いつつ、Grumman AA1に乗り込みエンジン始動、South East Rup Up Areaに向かった。すぐにサンタモニカ空港グランドコントロールにコンタクトし、エルモンテ空港までのTower Enroute IFR Clearanceをリクエストした:

Fly runway heading, upon reaching LAX315 radial Turn Rt heading250, SMO VOR, SMO125 radial, V64, SLI VOR, V8, POXCU intersection, POC VOR, 3000ft/5000ft 5min after departure, departure frequency125.5, Squawk XXXX

ランナップ後はすぐに離陸許可が下り、ぐんぐんと上昇していった。70-75ktで飛ぶと、600fpmくらいの上昇力は保てる。3000ftくらいから完全に雲の中に入る。この日の地上の外気温は17度だが、雲の中ではいきなり気温が下がった。これは当たり前の事だし、予想済み。ウィンドシールド一面に水滴が付着し、低気圧の雲だけあって上昇下降気流が入り交じる。左180度ターンでSMO VORに戻ることになった頃には、ガタガタゆれながら雲の中を飛ぶ感じだった。 しばらくして4000ftでレベルオフ。SMOに戻り、heading 125で雲の中を飛び続けた。流石に揺れが酷く少し空間識失調気味となり、どうしても軽い右ターンしてしまいたくなり、中立位だと左ターンしている錯覚におちいった。もちろんActual IMCで空間識失調気味になったことなど何度もあるが、かと言って気持ちの良いものじゃない。さらに、雲の中の揺れがあり、上昇したり下降したり、ピッチコントロールも大変だった。ひたすら綿密にスキャンを繰り返し、20分以上我慢の雲の中フライト。雲の中の不安定な気流と戦いながら、地味な微調整で機体を制御する。

途中少しエンジンがラフり始めたので、キャブヒートをオンにしてエンジン出力もぎりぎりまで上げるようにした。Headingを振られつつ、Seal Beach VORの付近まで来てやっと5000ftまでの上昇を指示された。4500ftくらいで雲の上に出れたと思う。比較的雲に近いところを飛んだので、スピード感があって面白かった。

雲の上を巡航し、再び雲の中に突入する動画:
http://www.youtube.com/watch?v=SMxH9m8NMag


そのままSLI VOR - POXCU intersectionと、淡々とナビゲーションを続ける。そしてPomona VORに向かって飛行を始めると、途中から左へ左へ旋回させられ、エルモンテ空港 VOR-AのFinal Approach Courseへとレーダーベクター開始。ここで4000ftに降下、そしてすぐに3000ftまで下りることになった。Final Approach CourseにはVORで乗せたが、その後はGPSを頼りにStep Downし、目の前に空港を無事発見した。 Left TrafficでRwy19にCircle to Landとなった。Approach Minimumより500-1000ftの余裕がある雲の高さで、緊張のアプローチ、着陸にはほど遠かった。とちらかというと、エンルートの方が忙しく、緊張を強いられた感じだ。

低出力で不安定でオートパイロットも持たない軽装備なGrumman AA1でこのようなIFR Flightをすることに疑問を投げかけるパイロットもいるが、私は自分の機体を相当信頼している。誰が乗っているのかわからないそこらのレンタルセスナ172や182より、自分のGrumman AA1の方が信頼性が高いとすら思っている。25時間毎のオイル交換とブラグ掃除、そしてCompressionチェック。おまけに交換したオイルの微粒子解析にかけ、実際に症状がでる何十何百時間も前から部品摩耗をチェックしている。この日の雲の中でも、自分の前で回り続けるエンジンには相当な信頼を置いていた。電気系のバックアップが大したことないので、当然ながら予備のトランシーバーを積んでいる。そして、パネルマウントのGPS以外に、機体バッテリー供給のYoke Mount GPS、それから予備の乾電池も準備。Convective WeatherやIcing Levelが低いような状況じゃない限り、これからもこの機体でガンガンIFRを攻めようと思う。





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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (DAIJA)
2009-10-15 19:51:45
こんにちは、CAの空を満喫されているようですね!
FMSやオートパイロットに頼らず、自分の能力と限られた計器をもってRAWデータで自在に飛行機を操れることが本当に「かっこよい」と最近思っております(もちろん使えるシステムを使いこなせる能力も大切ですし、それによって余った能力を別の方向に向けることも大切とは思います。でも飛行機の基本はRAWデータだと…)。

来月久しぶりにL.A.の空気を吸いに行く予定、すっかり秋めいているのでしょうね。
Unknown (C2)
2009-10-15 23:18:04
>DAIJAさん
操縦を楽しむために飛んでいるので、今までオートパイロットを使った経験は数回しかありません。システムを理解してオートパイロットを使いこなして安全にIFRを飛ぶのも一つの技術で、訓練や技量維持など大変な努力がいるのだと思います。ただ、DAIJAさんの言うように、基本の6Packsをスキャンしつつ、エンジン計器やSuctionをちらちらと見つつ、地味な微調整をしながら飛び続けるのはCool!だと思ってます。

LAに来られるのですね。どこの空港でしょうか?
Unknown (DAIJA)
2009-10-17 16:29:05
こんにちは。
先日久しぶりにFULLマニュアルで飛ばしましたが基本の大切さを痛感いたしました(反省)。
来月、15日にPILOT仲間と2人で日本を発つのは決まっているのですが具体的には何も決まってません、以前ちょこっとお世話になったトーランスのSOUTH BAYに行くのか新規開拓するのか、今回は飛ぶのは諦めて空港巡りするのか…なにせ2人とも飛行機バカなもので。
15日のネリスAFBのショーも見たかったりと…
Unknown (C2)
2009-10-18 08:14:41
>DAIJAさん
TOAのSBIFAは良いスクールですよね。仲間で二人なら1機借りて交互に飛ばして空港巡りしても面白いでしょうし、ひたすらロングクロカンしても面白いでしょうし、プランが決まっていないというのがいいですね。

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