LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

ジェット戦闘機に搭乗:第四話(動画あり)

2010-08-24 | ジェット戦闘機への道
前回、そして前々回の日記からの続きになる。Folland Gnat、ジェット戦闘機/練習機に乗り、自分の操縦でマニューバーをやらせてもらい、その後でSkip Holm氏(元戦闘機乗りで現在テストパイロットをする伝説の飛行機乗り)に色々とマニューバーをやってもらった。当然ながら気分が悪くなり、水平飛行に戻った。

かなり時間も経ったので、チノ空港に帰還することになった。気分が悪くなったとは言え、このジェットライドが終わってしまうのも寂しい気がする。そのまま直帰してもつまらないので、少しずつ減速し、この機体を失速させてみることにした。Holm氏から”you have control!”と言われ、再び操縦感を握ることに。徐々にノーズアップし、速度は200ktを切る。そこからどんどんと減速していくと、僅かながらBuffetを感じ始めた。操縦桿から伝わる感覚に集中していたので、実際のIndicated AirspeedがどれくらいでStallの前兆を感じたのか確認しなかったが、自分の知っている中では、セネカのような比較的ガッチリした翼の機体を失速させた時に感じるBuffetと同じようなものだった。戦闘機とは言え、翼のある乗り物を失速させた時の感覚は皆同じようなものなのだと知った。

”This is exactly like stalling a 6-seater class twin engine airplane”

と言う私に対し、

”You are right”

と返答するHolm氏。

もちろん、3次元を舞う時にはHigh speed stallが起こりえるわけで、そのような前兆を関知しながらこの機体を自在に操るのは別次元の話し。ただ、こうして信頼できるパイロットと戦闘機をSlow flightをしてStallさせる事で、何か自分が普段乗る機体との極々僅かな接点を見つけることができた感じがする。 失速遊びも終わり、スロットルを入れて再び加速。チノ空港を目指した。基本通りに45度ダウンウィンドエントリーでRwy26Lのパターンに入り、大きめのベース、長めのファイナルを作って着陸。ギアを出し、150ktくらいまで減速し、 ファイナルを飛ぶ。

かなりスロットル操作が忙しく、翼長が短く激しい後退翼ゆえに着陸が難しそうだというのが分る。想像以上にピッチアップのままタッチダウンとなった。最大限にエアロダイナミックブレーキを使い、ノーズギアを宙に浮かし続ける。そして問題はそこからで、胴体についている幅の狭いメインギアのお陰で、ブレーキング時に極めて不安定な挙動をする機体。飛ぶ前から聞いてはいたが、こんなに凄いとは思わなかった。ブレーキングをし、機体が左右に振動するような挙動が出たらブレーキをオフ。安定したら再びブレーキングという操作を繰り返す。

チノ空港 Rwy26Lに着陸する動画:
http://www.youtube.com/watch?v=a7uuK_JV3M8


ちなみに、このGnatのメインギアは30回の着陸後とにインスペクションが必要で、タイヤは20-30回のランディングしか持たないらしい。Rwy26Lを全て使いきって減速、タクシーアウトした。ジェットエンジンの甲高い音を立てながらゆっくりタクシーしていくGnat。さすがにランプでの注目度は抜群で、皆がこちらを見ている。ハンガー前に戻り、エンジン停止、キャノピーを開け、ヘルメットを取る。不思議な爽快感と、高揚した気分が入り交じる。体を縛り付けていたハーネスを取り、機体から外に出ると、自分がとんでもない汗をかいていた事に気付く。

Mr. Skip Holmと機外で記念撮影。色々とGA遊びをしてきたが、これは一つの極みだと思う。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
戦闘機は大変 (pon)
2010-08-24 16:26:49
戦闘機の搭乗体験記楽しく拝見させていただきました。
乗るのも、飛ぶのも大変なのに、着陸はもっと大変そうですね。急降下でドスンと接地するものと思っていました。接地後も微妙なブレーキングが必要とは思いませんでした。

一つ気になるのですが、自分で操縦しない時は、手の置き場に困りそうですが(掴む所が無さそう)いかがでしたか。
(足もラダーに置くと力んで踏みそうですが)
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Unknown (C2)
2010-08-25 13:26:14
>ponさん
手の置き場はありません。膝の上です。ただ、手足胴体ともにシートに縛り付けられているので、もともとあまり身動きが取れませんでした。
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