おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

カサブランカ

2020-12-13 08:27:58 | 映画
「カサブランカ」 1942年 アメリカ


監督 マイケル・カーティス
出演 ハンフリー・ボガート
   イングリッド・バーグマン
   ポール・ヘンリード
   クロード・レインズ
   ピーター・ローレ
   コンラート・ファイト

ストーリー
まだ独軍に占領されない仏領モロッコの都カサブランカは、暴虐なナチスの手を脱れて、リスボンを経由し、アメリカへ行くために、1度は通過しなければならぬ寄港地である。
この町でアメリカ人のリックが経営しているナイト・クラブは、それら亡命者たちの溜り場だった。
独軍の将校シュトラッサアは、ドイツ側の飛脚を殺して旅券を奪った犯人を追って到着する。
旅券を盗んだウガルテという男は、リックに旅券の保管を頼む。
リックと奇妙な友情関係にあるフランス側の警察署長ルノオは、シュトラッサの命をうけてウガルテを逮捕した。
そのあとへ、反ナチ運動の首領ヴィクトル・ラズロと妻のイルザ・ラントが現れる。
二人はウガルテの旅券を当てにしているのだが、イルザは、この店の経営者がリックであると知って驚く。
独軍侵入直前のパリで、彼はイルザと熱烈な恋に身を焦していたが、独軍が侵入して来たとき彼女は約束の時間に姿を現さず、そのまま消息を断ってしまっていたのだった。
ラズロは問題の旅券はリックが持っているらしいと聞き、彼を訪れて懇請するが、リックは承諾しない。
イルザはパリでの事情を語り、二人の愛情は甦った。
翌日、リックは署長ルノオを訪れ、ラズロに旅券を渡すからそのとき彼を捕えろと語り、手はずを整えさせた。
その夜、店へラズロとイルザが現れ、ルノオがこれを逮捕しようとしたとき、突然リックはルノオに拳銃をつきつけ、ラズロ夫妻の旅客機を手配するため、飛行場へ電話をかけるように命じた。
ルノオは、電話をシュトラッサアへつなぎ、暗に二人が出発しようとしていることを知らせた。
飛行場へ赴いたリックはラズロとイルザをリスボン行の旅客機に乗せてやる。
一足違いで駆けつけたシュトラッサアは、これを阻止しようとして却ってリックに射殺された。


寸評
今見るとよくできたメロドラマといった内容で、アメリカ人がこの映画を常に上位にあげる理由がよくわからない。
すべての要素が要領よく散りばめられた、まるで寄せ鍋の様な作品だが、食材はそこそこのものを使って見栄えを良くしていると感じだ。
第二次世界大戦の激動パリで愛し合っていた二人の様子が描かれるが悲恋で終わる。
待ち合わせの時間になぜ現れなかったのかがイルザの口から語られ、二人の間に愛がよみがえる。
情熱的な恋が戦争によって引き裂かれ、やがて再会して二人の恋が再び燃え上がるという展開だが、その盛り上がりは独りよがりで、僕にはイルザがとてもいい加減な女に思えた。
ラズロに対する尊敬が愛と思ったと語らせているが、結果的にイルザは単なる二股女ではないか。
結局彼女は男の間を行ったり来たりで、どうも恋愛映画としては浅いものがある。

反ナチ運動のリーダであるラズロは脱出の為の旅券を必要としているのだが、その旅券はリックが保管している。
ドイツ軍も奪われたその旅券を探しているのだが、旅券を発見されるというスリル感は描かれていない。
そしてレジスタンスとしてドイツ軍に睨まれているラズロが自由に振舞っていて、捕らわれてしまう、あるいは殺されるかもしれないと言う緊迫感はない。
ドイツの少佐の「ラズロは自由にしても捕らえても危険だ」の一言で、捕縛もされず自由に動き回っているのだ。
集会で襲われたりもしているが、レジスタンス映画に見る緊迫感はない。
ドイツに対する抵抗を感じるのは、ドイツ将校達がピアノを占有して歌っている所で、居合わせた客たちがフランス国家を歌って対抗することぐらいである。
憎っくきナチス・ドイツという印象は全くと言っていいぐらい受けないのだ。

いろんな要素が散りばめられているのだが、それらを掘り下げて眺めてみるとどれもが深みのあるものではない。
しかし全体としてはウットリさせるようなエピソードを散りばめていて、その雰囲気に酔わされてしまう。
アメリカ行きを望んでいる若い新妻に、パリでのイルザの気持ちを代弁させるようなことを言わせ、リックがその夫婦を自分の経営するカジノのいかさまで救ってやるというヒロイズム。
ド―リー・ウィルソン演じるピアニストのサムに思い出の曲「時のすぎゆくままに」を弾かせ聞かせる音楽効果。
リックに好意を寄せるイボンヌへの返答では「昨夜はどこに?」「もう忘れた」、「今夜は会える?」「先のことはわからん」などという小粋な会話。
極め付けが「君の瞳に乾杯」だ。
監督のマイケル・カーティズはよほどこのセリフが気に入ったのか、ハンフリー・ボガードに4度も言わせている。
最初は熱愛時代のパリで、2度目は陥落前のパリの酒場で、3度目は二人が和解して愛を確認したリックの部屋で、最後が空港での別れ際と言った具合だ。
少佐の死によって独軍及びヴイシイ政府の呪縛から逸した警察署長のルノオが、リックとの掛け金を旅費として相携へてこのカサブランカを脱出し反独戦線に加わることを誓い霧のかなたへ消えていくというくすぐったい結末。
何にもまして、イングリッド・バーグマンを美しく撮ろうと言う意識があり、ファッションと共に彼女のアップが観客を魅了する。
ゆったりとした気分で、それらの雰囲気を味わえることがこの作品の人気の秘密の様な気がする。


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2 コメント

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リメイクは (指田文夫)
2021-06-18 11:24:21
リメイク作は、裕次郎とルリ子の『夜霧よ今夜もありがとう』が有名ですが、小林旭にも『波止場の賭博師』があります。

リック役は、初めはロナルド・レーガンだったのです。ところが彼は徴兵されて、代わってハンフリー・ボガードになったのです。
でなければ、レーガンが大統領になることもなかったでしょうね。
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やはり本家は (館長)
2021-06-19 09:18:26
石原裕次郎、浅丘ルリ子、二谷英明よりは、やはり本家の方が雰囲気がありました。
でも、アメリカ人ってこの映画好きですね。
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