おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

コミック雑誌なんかいらない!

2021-02-21 10:34:55 | 映画
「コミック雑誌なんかいらない!」 1986年 日本


監督 滝田洋二郎
出演 内田裕也 渡辺えり子 麻生祐未 原田芳雄
   小松方正 殿山泰司 常田富士男 ビートたけし
   郷ひろみ 片岡鶴太郎 桑名正博 安岡力也
   片桐はいり 趙方豪 三浦和義 桃井かおり
   横澤彪 おニャン子クラブ

ストーリー
ワイドショウのレポーター、キナメリは突撃取材で人気がある。
妻はコマーシャル・タレントだが、二人の時間帯はまったくかみ合わない。
その日も、成田から飛び立つ桃井かおりに、放送作家の高平哲郎氏との恋愛についてマイクを向けていたが、まるで相手にされなかった。
しかし、ワイドショウの司会者はそのコケにされ方がいいと誉める。
松田聖子、神田正輝の結婚式が近づいており、キナメリは聖子の家に張り込み、彼女が喜びのあまり、風呂場で唄う「お嫁サンバ」を録音することに成功するが、電信柱に昇っているところを警官に捕ってしまう。
警察ではこっぴどく叱られ、始末書を書かされるが、プロデューサーはどんどん過激にやれ、後の面倒は局が見るからとキナメリを煽る。
キナメリは聖子・正輝の結娘式ではガードマンに殴られ、準備中と札の出ているフルハムロード・ヨシエに入って三浦和義にマイクを向けてコーラを浴びせかけられてしまう。
彼は大阪に向かい、山口組、一和会の抗争の取材もする。
その頃彼のマンションの隣りに住む老人が、セールス・ウーマンから金を買ったという話を聞く。
番組で、金の信用販売についてレポートしたいとプロデューサーに提案するが相手にされない。
夜の新宿を歩くキナメリは、アルタの壁面のビデオで三浦が逮捕されたことを知った。
日航機の堕落を取材したキナメリは東京に戻り、金の信用販売会社、社長のマンションに向かうと、そこに二人組の男が現れ、取材陣の前で窓を破って中に入ると、アッという間に社長を刺殺してしまう。


寸評
「滝田洋二郎監督、内田裕也主演の映画、コミック雑誌なんかいらない!の上映が始まります。場内は消防法に付きセックスはご遠慮ください」というナレーションで始まるので、この映画は多分にオフザケがあるのだとの意識を持って見ることになる。
そして驚かせるのが冒頭の桃井かおりと高平哲郎との交際スキャンダルの一件で、桃井がなんと本人役で登場しているのだが、桃井かおりがオファーを受けての出演だったのかどうか分からない。
しかし映像を使っている以上、了解は得ていたんだろうなとは思う。
前半は本当か嘘か分からないような内容で、造語を作ればフェイク・ドキュメンタリーとでも呼ぶのがいいだろう。
そう思わせるのが次に続くバーでの出来事だ。
内田裕也の盟友・安岡力也が実名で登場し、同席していた桑名正博に当時内田が感じていたであろうロック界に対するマスコミの扱いに関して高圧的な文句を言わせるというシーンで、言われているのが日本のロック史に重要な足跡を残してきた内田裕也で、桑名に「ロックが分からん奴」と罵られるところは笑える。

当時ロス疑惑の渦中にあった三浦和義本人を登場させて、キナメリが突撃取材を敢行するというエピソードが続くが、ここでも三浦和義がオファーを受けていたのかどうか疑わせるような内容で、かなりハードな内容だ。
僕たちの世代にとってはロス疑惑は記憶に残っているが、今の世代にはロス疑惑とは何なのか分からないだろうから、ここでの突撃取材はピンと来ないかもしれない。
その意味では、この時代の映画であって普遍的要素の少ない作品だと思う。
石原真理子と玉置浩二のスキャンダルもそうだし、姿を見せない石原真理子がスプレーをぶっかけ、続いて登場した横浜銀蝿の嶋大輔がラブホテルから出てくるシーンを演じていて、キナメリや撮影スタッフに対し「銀蝿みたいにまとわりつきやがって」と言わせたり、神田正輝との結婚式を控えた松田聖子の部屋から、彼女が歌う郷ひろみの「お嫁サンバ」が聴こえてくるうおかしさを描かれると、やはりこれはドラマなのだと思えてくる。

そのくせ山口組と一和会の内部抗争を描いて、山口組の田岡組長宅前を撮影し、ドキュメンタリー風を見せる。
組員にインタビューに行き怒鳴られるシーンは迫力があり、内田が及び腰になるカメラマンを「前に出て行って撮れ」と叱咤する場面は生々しい。
と、思った瞬間子供たちを登場させコントを演じさせている。
時事ネタとして外国人女性を使った不法就業や、豊田商事による金の地金を用いた悪徳商法による組織的詐欺事件を髣髴させるエピソードも描いており、この事件は映画の重要なファクターとなっている。
リアルさと滑稽さのアンバランスがこの映画の持ち味で面白い点だ。

分からないのは当時人気番組だった「夕やけニャンニャン」のおニャン子クラブを登場させたり、日本航空123便墜落事故を取り上げている点で、何のためにこのエピソードを挿入したのかよく分からない。
僕には意味不明のエピソードに思えた。
体験レポートのパートは全くのお遊びだ。
特にホストクラブで郷ひろみが登場するエピソードはオフザケの最たるものとなっている。
1985年の世相を描いた映画だが、阪神タイガースの優勝がない。


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2 コメント

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かなり犯罪は犯していたようですが (FUMIO SASHIDA)
2021-02-25 08:10:37
三浦和義は、相当に問題のある男で、いろんな犯罪はやっているようですが、ロス疑惑は無実のようです。他人にやらせたのです。
ただ、後のアメリカの司法取引で、明らかになり、収監されたのだと思う。そこで自殺してしまいますが。
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発音が同じで (館長)
2021-02-25 08:58:16
サッカーのキングカズが三浦 知良で、同姓同名ではないですが迷惑な話です。
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