新しいパスポートが出来上がるまでに、ゴンザがしたこと。
それは、国際運転免許をとることだった。
『レンタカーで移動』と聞いてから、
「Hさんだけに運転させるのは申し訳ないから」と、
はりきって取得に出かけて行ったのだ。
まだ明るいからって油断してると、結構な時間に...。
しかし、実際イタリアに着き、
フィレンツェの空港からタクシーに乗った途端に、
「お...俺、大丈夫かな?みんな、なかなかの運転だけど?」
と、その交通事情にビビりまくり(笑)
ルールなど、あって無しがごとくのイタリア人たちの飛ばしっぷりには、
なんだかんだと言っても真面目な日本人として、割り込む余地がないと、
そう思わざるを得なかったのだろう。
自由過ぎるぜ、イタリア人!(笑)
結局、移動当日となって、
「なんとか高速道路だけならイケるのではないか?」と、
Hさんの負担を減らせるように、ハンドルを握ったゴンザだが、
そこは、普段乗り慣れないマニュアル車、
しかも左ハンドル、右側通行...。
もし、運転を交代したのがSAでなければ、
私たちは今頃、ここにいなかっただろう(笑)
3回エンストし、
挙句、SA内を逆走し始めたゴンザは、
「逆!逆!逆!」と、わーわー叫ぶ他4人の声に目が覚めたのか、
その後はなんとか、順調に運転を続けた。
ナポリが近くなり、車窓から見える景色も、集合住宅の群れに変わる。
「ねえねえ、イタリア人って洗車しないのかな?」
「あの車、ドアが少しめくれてるけど?」
「きっと修理しても無駄なんだろうねぇ」
屋根にくくられたトランク、自転車。
車窓から見えるのは、日蔭を作るためという、
キノコみたいに刈り込まれた樹。
そして、高速を降り、再び走れば地中海!
緑がオリーブ色に変わり、
町の景色は、急に古いアパートの群れに。
ああ、南へやってきたのだと、
あの、優雅なフィレンツェとはまったく違う趣に、
旅の実感は深まってゆく。
リゾート地らしい、ソレントのゆったりした部屋。
ナポリの渋滞は色々衝撃だった。
「イタリア語には、『車間距離』って単語自体がないよね、たぶん」
「っつーか、こんなに急に車線が少なくなるんじゃ、渋滞するのは当たり前じゃ...?」
日本人的なツッコミをよそに、大渋滞の車列に割り込みまくるイタリア人たち。
さらにそこにクラクションを鳴らし、
無理矢理割り込み真横に走行するイタリア人(笑)
ホテルで荷物をほどいたら、ボーリングへ!じゃなく、中のピッツェリアへ。
「お前らやりたい放題か!」
荒っぽい、けれど、どこかユーモラスな南イタリアの洗礼に笑い、
ボロボロの、小さな車の列に紛れた5人。
なんでも、「周辺で一番美味しい」らしい。
うん!モチモチ、シンプル、美味しい!
高速を降り、なんとか『やりたい放題のイタリア式渋滞』から逃れた私たちの車は、
再びハンドルを握ったHさんの滑らかな運転のもと(笑)
次の宿泊地・ソレントを目指し、走り始めた。
月を映した、地中海の風を受け。