ゴンギツネ現る

我が家にはしばしば、私が留守の間、または部屋で呑気にTVを見てる間に、そっと良い物をポストに置いていくゴンギツネが出る。
それは、美味しいお菓子だったり、可愛い雑貨だったり、どこかのお土産だったり、様々であるのだが、たいがいがユーモアに満ちていて、時には気の利いたひと言が添えられていることもある。

そのキツネの正体が誰であるか、それは私にはとっくにわかっているが、我が家ではあくまでもそれを「ゴンギツネ」と呼ぶならわしがあるので、ここでそれが誰だかは口にすまい。
ただ、ゴンギツネが現れるのは、家族の中でも私と、妹のところにだけで、その事実を知っているのもまた、私と妹、それを見つめるゴンザ、弟のみである。

さて。
私のところに現れるゴンギツネのお土産が、可愛い、気の利いたものである一方、妹のところに現れるゴンギツネは手作りの食べ物とか、なにやら所帯じみたものが多いらしい。

と、なると、もしかするとゴンギツネは1匹ではないのかもしれない.....。
しかも不思議なことに、私のところにゴンギツネが現れると、私は妹にだけその嬉しさを報告する傾向があるし、妹もまた、私にだけ報告をする傾向がある。

と、なると。
さて.....ゴンギツネの正体は一体何なのか.....。
疑惑は深まるばかり。

今日、外出していた私が帰宅すると、ゴンザによって写真のようなメッセージが、ゴンギツネの置いていったもののそばに添えてあった。
今回はどうやら、そっと荷物を置いていこうとしたゴンギツネと、出勤しようとしていたゴンザが鉢合わせをしてしまったらしい。
ゴンザの話によれば、そのゴンギツネはバイクに乗って帰って行ったという話だが.....。

袋の中身は、思いやりに溢れた、結婚祝いの品だった。
ユーモアに溢れて、彼女らしい（キツネはどうやらメスのようだ）、素敵なプレゼント。
中身はまた別の機会に紹介するけれど.....。

本物の物語、「ごんぎつね」は悲しい結末だったけど、この話はどうやら、まだまだ楽しく続く。

でも.....。
はて、私のところに現れるゴンギツネの正体が××××なら、妹のところに現れるゴンギツネの正体は一体誰なんだろう？