角を曲がれば、美しい、扉、扉、扉の数々。
プラハの街は、溢れる観光客のためか、
飲食店が本当に多い。
石造りの建物の、美しいドアの中には、
チェコの伝統的レストラン、居酒屋から、
アメリカ式のカフェ、中華、ケバブ屋まで。
本当に様々な飲食店が軒を連ねている。
しかし、同時に目立つのが空き店舗で、
これはおそらく過当競争のためであろうが、
それらはほとんどの場合、落書きで埋め尽くされていて、
非常に残念な気持ちにさせられる。
古都の美しさの裏には、
その『変わらぬ顔』故の『退屈』もあるのだろうか。
はたまた若者たちは、いつの時代もそうであるように、
何かに抗っているのか。
店舗に限っていえば、
弱肉強食の現実が雪崩れ込みつつある中で、
良い店は残り、そうでなければ、
消えてゆくのが運命だろう。
同時に、立ち並ぶマクドナルドやケンタッキー、
近年出来たというスターバックス。
得たものと同時に、失いつつあるものの大きさに気づかないのは、
どこの国も一緒ということか。
荒れ果てた、いくつもの空き店舗と、
客で賑わう、暖かな光に満ちた店舗を見比べながら、
私たちは、また、プラハとは遠く離れた島国の、
我が店のことを思う。
世界は広いけれど、
あの、小さな横浜の店が、
お客様に可愛がって頂けていること、
旅に出ることを快く許して頂けていること、
「早く帰ってきてね!」と言って頂けていること。
これを『世界で一番の幸せ』と呼ばずに、
何と呼べばいいのだろう、と。
私たちは世界で一番の幸せ者。
プラハの街中で思う。
みなさんいつもありがとう。