今日は、我々をイタリアへ誘ってくれた、Tのお話。
彼女のアルバムにある、古いご先祖様の写真は...
飛行機も、溢れる情報もない昔々。
未知の国への旅が、どんなものだったのかと、
遠い思いにも、また誘ってくれる。
未知の国への旅が、どんなものだったのかと、
遠い思いにも、また誘ってくれる。
彼らにとって、世界は狭いのだと思う。
昔々、ご先祖様が、
遠く海を渡って、
この、未知の国に来た時から。
その遺伝子は、旅をし続けて。
欧州向けに、日本の陶器などを商っていたという、Tのご先祖様は、
ユダヤ系のフランス人なのだそうで、
そこから果たして、何年何代を経ているのか、
イタリアへのルーツが、どこでどう入ってくるのか、
聞いてみたことはないけれど。
彼女の、アルバムの中には、
古い古い、ご先祖様の写真があり、
さらには彼女とそっくりな、
まるで本人かと見まごうような誰かが、
当時の着物を着て、微笑んでいる写真もある。
今も、旧居留地内にある、彼女の自宅には、
ご先祖様が商っていた、陶器のいくつかが飾られて。
「こーゆーのを、海外向けに売ってたんだって」
と、Tは説明してくれる。
別の壁には、彼女のバートナーであるHさんの、
お母様がスイスで手に入れたという、古い古い世界地図も飾られて。
子供の頃から、訪ねる『祖国』や、
友人やパートナー。
そうして行き交う国は、さらに拡がり、
いくつかの言語を操る彼らはの中には。
あまり国境というのは、
もしかしたら、ないのかもしれない。
または、だからこそ。
ルーツを大切に、辿る旅をも、彼らはずっと、続けてゆくのだろう。
ここ数年で、Tの弟はイギリス、中東と、赴任先を変え、
時々日本へ、妻子と共に『帰って』くる。
彼らは今も、世界を飛び回り、
仕事に、遊びに、
これからも、旅する遺伝子は、
脈々と続いてゆくのだろう。