けさ届いた読売新聞のメルマガには、センセーショナルな見出しが掲げられていた。
《ロシア政権内部に異変…要人辞任・動静途絶、「クーデター辞さず」観測も》
狂人プーチンの暴走を止めるにはロシア民衆の蜂起か、ロシア政府内のクーデターによるしかないのか・・・。そう考える私は、その種の情報を心待ちにしていた。FSB(ロシア連邦保安局)がプーチンの「排除」を企てているらしい、ーーそういう情報を、私はネットの森から拾い集めていた。
だが、同じ情報でも、日本のメジャーな新聞が報じるとなれば、その重みは俄然違ってくる。日本のメジャーな新聞は、確度のきわめて高い情報しか報じない、ーーそう私は信じている。(慰安婦問題をめぐる)朝日新聞の誤報事件などはあったが、それでもなぜか私の信仰は揺るがない。
もっとも、読売新聞のメルマガに関していえば、私はこれにあまり期待していなかった。読みたいと思う記事ほど「読者会員限定です」の表示が出て、中身を読めないことが多いからだ。興味をそそる記事の見出しは、読売新聞の購読者を増やすための囮(おとり)のような役割を果たしている(らしい)のである。
だが、けさのメルマガは違った。《ロシア政権内部に異変…要人辞任・動静途絶、「クーデター辞さず」観測も》と見出しが付けられた記事は、まるごと中身を読むことができた。あらまあ。
それによると、アナトリー・チュバイス大統領特別代表(国際機関との調整担当)、アルカディ・ドボルコビッチ元副首相、エリビラ・ナビウリナ中央銀行総裁といった要人3人が、プーチン政権から離反の態度を示している。
さらに、米CNNなど米欧メディアは、セルゲイ・ショイグ国防相の動静が2週間近くも伝えられなかったことに強い関心を寄せている。
また、これとは別に、プーチン大統領に政治情勢を報告していた情報機関「連邦保安局」(FSB)の複数の幹部が「懲罰」として軟禁されていることから、タイムズは「FSBがクーデターを起こすリスクが日増しに強まっている」とする内部告発情報を報じたという。
FSB(ロシア連邦保安局)がプーチンの「排除」を企てているらしい、という情報なら、私はすでにネット・メディアからもこれを得ていた。しかし今、こうして天下の読売新聞が(天下のNYタイムズ紙からの援用という形で)報じていることから判断すれば、この情報の確度は相当高いのだろう。
ネットから得た情報によれば、ロシア軍の内部でも、将校たちを中心にプーチン政権への不満は高まっている。にもかかわらず、将校たちがクーデターの挙に出ない(出られない)のは、彼らがFSBに四六時中監視され、雁字搦めにされているからだろうと私は推測していた。そんなふうにしてプーチンを支えるべきそのFSBが、自らプーチンに反旗を翻すとは、なんとも皮肉な成り行きである。思わぬ落とし穴とでも言おうか。
だが、これこそがまさに独裁者の末路と言うべきなのかもしれない。