ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

核への祈り

2022-03-27 11:18:12 | 日記


きのうヒロシマで、分かりやすい政治的パフォーマンスが行われた。メディアは次のように伝えている。

「岸田文雄首相は26日、エマニュエル駐日米大使とともに被爆地・広島市の平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花した。両氏はこの後、公園内の施設で会談し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアが示唆している核兵器の使用は断じて許されないとの認識で一致した。」
(JIJI.COM 3月26日配信)

記事がいうように、このパフォーマンスは「核兵器の使用は断じて許されない」というメッセージを喧伝することを狙っている。もう一ついえば、〈あのこと〉に対して「ごめんなさい」と日本に詫びを入れて赦しを請い、日米同盟の絆を盤石にすることだろうか。

これは、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本向けのリモート演説で〈あのこと〉に触れなかったために、米バイデン政権が積極的にせざるを得なくなったパフォーマンスである。ゼレンスキー大統領は狙ってそれを目論んだわけではないだろうが、アメリカとしては、狂人プーチンの核使用を食い止めるために、このパフォーマンスがぜひとも必要だと考えたのである。

ヒロシマでの日米合作のパフォーマンスは、ゼレンスキー演説の思わぬ波及効果というべきだろう。

核を保有する軍事大国アメリカと、アメリカの「核の傘」に守られた日本が、そろって「核兵器の使用は断じて許されない」と訴える。これは考えてみればとても可笑しなことだが、このアピール自体には一理があり、また一利もある。
核保有国が皆「核兵器の使用は断じて許されない」という理念を肝に銘じれば、この理念は核抑止の力として働き、核戦争の危機を回避することにつながるからである。

早い話が、核保有国が皆「核兵器禁止条約」を批准することである。ウクライナ戦争を機に、ひとつ日米が音頭をとり、この条約を批准するよう、世界各国に働き掛けてみてはどうだろうか。

まあ、夢のような世迷言は措くとして、核兵器禁止の理念がとりあえず狂人プーチンの胸に届くかどうか、ウクライナでの核兵器の使用を阻むことができるかどうかが、さしあたりの試金石になるだろう。

コメント
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