戦争が絶えない世界情勢を思うとき、
ニーチェの「力への意志」やホッブズの「自然状態」の言説が
私の頭をよぎる。
ニーチェの考え方からすれば、人は皆「力への意志」を、
つまり自分の力を絶えず増大しようとするを意欲を、
理性以前の根源的な衝動として具えている。
そのため人と人との間では、
粗暴なヤンキー同士や、野生のオオカミ同士の世界さながらの、
過酷なバトルが、――残忍な衝突と抗争が、避けられない。
国家が存在しないときに、人が陥るそういう激烈な闘争状態、
それがホッブズの言う「自然状態」の世界である。
人と人との関係の場合であれば、
その上位に国家が存在して、
殺人を禁止する法を施行し、
この法を侵した者を厳しく処罰するので、
対立や衝突が血で血を洗う陰惨な闘争状態にまで発展することは稀だが、
人と人との関係の場合とは違って、
国家と国家との関係の場合には、
( 人にとっての国家のように )これを規制する上位の機構が存在しないので、
血みどろの闘争が絶えないのである。
むろん今でも国際連合のような国家横断的組織はあり、
過去には国際連盟のような組織もあったが、
そういう国際的な組織は、
国家間の戦争を根絶やしにする実際的な効力を持っていないというのが、
残念ながら否定できない現状である。
(つづく)
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