ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

自民党総裁選 公開討論会で

2024-09-15 10:42:04 | 日記
きのう9月14日のこと、自民党総裁選の候補者9人が日本記者クラブ主催の討論会で議論をかわした。私はそれをNHKの生中継テレビで見た。

全体の印象からいうと、一人を除いて、全員がそこそこの受け答えでほぼ及第点。及第点をとれなかったその一人とは、上川外相である。彼女の発言はどれをとっても内容空疎で、およそ総裁候補のそれとは思えない。麻生の爺さんにおだてられ、勢いで木に登ったものの、このおばさん猿は見えた景色に戸惑い、しっかり恥をかいたといったところだろうか。

これとは反対に、「おっ、この人はなかなかだな」と思わせたのは、茂木幹事長である。ぬーぼーとした風貌に似つかわしくない鋭い受け答えで、「おお、この人、なかなかやるじゃないか」と思わせた。
その受け答えの一々は憶えていないが、けさの朝日新聞に、こんな記事がのっていた。

石破氏を指名したのは小林鷹之前経済安全保障相(49)=二階派=、林芳正官房長官(63)=旧岸田派=、茂木敏充幹事長(68)=茂木派=の3人。石破氏の持論である防災省の新設やアジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設に切り込んだ。
林氏が『自衛隊、消防、警察は防災省に入るのか』と問うと、石破氏は『各省庁との関係は、過程において検討される』。アジア版NATOでは『自衛権の全面的な行使と憲法の関係はどうなるのか』という茂木氏の質問には『これから議論を詰めたい。よく承知している』と返した。
防衛相や地方創生相など閣僚経験が豊富な分、個々の政策へのこだわりも強い石破氏が問われたのは『実現可能性』だったが、明確な返答を避けた。

(朝日新聞9月15日)

記事が示すように、石破氏は茂木幹事長の質問にたじたじとなり、明確な返答を示せなかった。
この茂木幹事長の切り込みは、3つの点であざとくしたたかといえる。第一に、石破氏の防衛構想の核心的な弱点を突き、返答に詰まらせて、ライバルである石破氏のイメージダウンをはかったこと、第二に、それによって若手・進次郎氏の(相対的な)イメージアップにつなげ、来るべき「進次郎政権」に取り入る足場を築いたこと、第三に、それによって自分の才覚を衆目に見せつけたことである。

こうした「やり手」ぶりを見せつけられて、私の中に一つの疑念が湧いてきた。
茂木氏は岸田政権の中にあって、わざと「寝たふり」をして、幹事長としての才覚を発揮せず、岸田政権が沈没するにまかせたのではないか。この人ほどの才覚があれば、助け舟を出そうと思えば出せたのに、岸田政権の沈没を早めるため、この人はわざとそれをしなかったのではないかーー。

この疑念が当たっているとしたら、茂木氏は恐るべき策士だといわなければならない。この策士ぶりが功を奏して、もしかしたら(下馬評の低い)茂木氏が次期総裁になることもあるのかもしれない・・・。

だが、仮にそうなったとして、その策士ぶりが国際的な舞台で通用するかといえば、それははなはだ覚束ない。この人は、かつてトランプ米大統領から「モテギはタフだ」と言われたそうだが、習近平やプーチンが相手では、そうは問屋が卸さないのではないか。
まあその前に、この茂木氏の策士ぶりが自民党員の間でどこまで功を奏するのか、それが見物といえば見物である。

コメント
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