ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

2018年をふり返る(6)

2018-12-30 11:08:45 | 日記
2018年に生じたエポックメーキングな出来事を一つあげるなら、「宇宙戦争」の可能性が俄(にわか)に現実味をおびたことだと言えるだろう。「宇宙戦争」と聞いただけではピンとこないが、次の記事を読めば、多少は想像しやすくなるのではないか。

「赤土がむき出しになった中国の山あいを、ドローン(無人機)が鳥の群れのように舞った。その数119。人工知能(AI)が機体を制御し、集結や分散を繰り返す。攻撃目標を発見すると、2群の編隊に分かれてぐるりと取り囲んだ。パイロットはいない。地上からの指示もない。
5月、中国の国有企業「中国電子科技集団」が開いたAI技術の発表会。同社が世界記録と誇る固定翼ドローンの群集飛行実験のビデオが披露された。
 「生物が群れをなすのは種の生存のため。ドローン群集は未来の戦争で勝利のかぎを握る」。映像ではこんな説明に続き、北米の地図が映し出された。「攻撃」の文字。ここから先は架空のCG映像だが、人工衛星を通じて指令が送られ、無数のドローンによる攻撃で高層ビルが立ち並ぶ都市が火に包まれた――。発表会場に集まった軍や企業、大学関係者ら約300人は静まりかえったという。」
                       (朝日新聞DIGITAL12月28日配信)

AIによって制御される多数の無人攻撃機。AIに指令を送るのは、人工衛星の宇宙基地局であり、ここには地上の司令部から、無線で信号が送られる。

夢のような話だが、これは決して架空の夢物語ではない。「人間が遠隔から操作する攻撃型ドローンは、米国がアフガニスタンやイラクでいち早く実戦導入した。そして中国製もすでに実戦投入されているとみられる」と、上記の朝日新聞DIGITALの記事は書いている。しかもアフガンやイラクだけでなく、各国間の現状の戦闘は、そうした近未来の戦闘に限りなく近づいている。昨今メディアを賑わせている、以下のような実話を思い起こしてみればよい。

「防衛省は21日夜、海上自衛隊のP1哨戒機が20日午後3時ごろに石川県・能登半島沖で警戒監視活動中、韓国海軍の駆逐艦から射撃の照準を合わせる火器管制レーダーを照射されたと発表した。岩屋毅防衛相は21日夜「不測の事態を招きかねない極めて危険な行為だ。韓国側に強く抗議した」と述べた。」
                    (毎日新聞12月21日)

実際に起こったこの事件では、自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したのは、駆逐艦に乗った韓国軍の兵士である。これとは別に、この駆逐艦が無人で、照射の指令は人工衛星の基地局から送られたと想像してみればよい。そこに出現するのは、近未来の「宇宙戦争」の姿であるが、そこに至るまでの道筋は驚くほど近い。人工衛星を打ち上げる技術を手に入れ、そこに設置した基地局との間で電子情報をやり取りする技術さえ手に入れれば、「宇宙戦」の攻撃システムは出来上がる。

宇宙戦における勝敗の鍵をにぎるのが、サイバー空間における情報技術の優劣だというのも、お解りいただけるだろう。アメリカがサイバー空間で覇権をにぎることに血眼になるのも、うなずける。来年の今ごろは、宇宙戦争の勝者がどの国になるか、結果が出ているかも知れない。

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【10月】
★米朝首脳会談のその後
(関連記事:10/1《計算高い老人の 恋は盲目》、
      10/3《米朝交渉 round 14》、
      10/8《トランプの本心なのか》、
      10/27《見よ、新兵器の威力を!》)

★沖縄知事選、基地移設反対派の玉城デニー氏が当選
(関連記事:10/2《沖縄知事選によせて》、
      10/5《沖縄知事選の真実》、
      10/6《沖縄知事選の真実.への疑問》)

★新米文科相の「教育勅語」発言
(関連記事:10/4《閉店セール内閣で教育勅語》)

★米中の貿易戦争が軍事的な「灰色戦争」へ発展
(関連記事:10/7《平和と戦争》)

★ICPO(国際刑事警察機構)の中国人総裁が中国で姿を消す
(関連記事:10/9《ICPO総裁失踪事件》、
      10/10《ICPO総裁失踪事件 その真相》)

★ノーベル医学生理学賞を本庶教授が受賞
(関連記事:10/11《オプジーボをめぐる対話》)
      10/12《オプジーボをめぐる問いをめぐって》)

★サウジ政府を批判した記者・カショギ氏が総領事館内で殺害された、との報道
(関連記事:10/13《今度はサウジで》)

★電力の需給バランス問題が浮上
(関連記事:10/14《有り余る電力 原発不要論》、
      10/17《社説に見る原発不要論》)

★辺野古移設に見る「デュー・プロセス」のアンデュー
(関連記事:10/19《デュー・プロセスはデューなプロセスか》)

★シリアで過激派武装組織によって拘束されていたフリージャーナリスト・安田氏が解放される
(関連記事:10/25《お帰りなさい、安田さん》、
      10/26《安田さんバッシングに思う》)

★中米から数千人規模の難民がアメリカをめざして北上
(関連記事:10/28《中米の難民が北上中》)

★日中関係の現状を考える
(関連記事:10/29《テーブルの下の日本と中国》)

★入管法改正法案を政府が国会に提出
(関連記事:10/31《外国人労働者はいかが?》)
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