ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

「もしトラ」の波紋は

2024-07-11 10:28:34 | 日記
「風が吹けば桶屋がーー」と似たような話である。「もしトラ」がホントになれば、円安がさらに進むのだそうだ。冗談だろ?と言いたくなるが、これは、きのうの朝日新聞にのっていたマジメな話である。

バイデン米大統領の『惨敗』と評された6月の大統領選のテレビ討論会を受け、共和党のトランプ前大統領の返り咲きが、金融市場で強く意識されている。外国為替市場は円安方向に動き、今月に入り1ドル=162円目前まで下落する場面もあった。トランプ氏優位だと、なぜ円安に振れるのか。
(朝日新聞7月10日)

この記事によれば、トランプ前大統領が返り咲くと、米国の長期金利が上昇する。すると、ドルが買われ、円安が進むというのである。

でも、トランプ前大統領が返り咲くと、なぜ米国の長期金利が上昇するのか。インフレの亢進と連動した話だというが、すると、ここでもう一つの疑問が出てくる。

トランプ氏は、バイデン政権がインフレを抑えられていないと批判してきた。なぜそのトランプ氏が再選すると、インフレが激しくなると言えるのか。」

朝日の記事は、金融サービス会社・マッコーリーのウィズマン氏の見解を援用して、3つの理由をあげている。

一つ目は移民政策である。トランプ氏は不法移民の強制送還を含む厳しい制限をめざす。移民の減少は、米国の労働力の減少を意味する。採用が難しくなり、企業が賃金を引き上げればインフレ圧力は強まるというわけである。

二つ目は財政政策である。トランプ前政権がまとめた大規模減税は2025年末が期限。トランプ氏はこれを延長する構えで、税負担が軽くなった企業や個人が設備投資や消費を拡大させれば、それもインフレを強めうるという。

三つ目が貿易政策である。トランプ氏は全ての輸入品に一律10%、中国からの輸入品には60%の関税をかけると主張する。関税引き上げは輸入価格を上昇させ、インフレを激化させる可能性が高い。

ふむふむ。経済音痴の私は、ただただ「お説ごもっとも」とうなずくしかない。

それにしてもあきれるのは、米国の政界のなんともお粗末な現状である。
「もしトラ」が俄に現実味を帯びたのは、トランプ前大統領の対抗馬・バイデン大統領が先月の討論会でよぼよぼジジイぶりをさらし、「これじゃダメだ」と不評を買ったからだが、バイデンがずっこけたら、これ「もっけの幸い」と、民主党内から次の若手が名乗りを上げて然るべきではないか。
ところが、そういう「次」が見当たらないのが、今の米国政界の現状なのである。

バイデン大統領は先日、大統領選からの撤退を求める民主党内の一部の意見に対し「党大会で俺に挑戦してみろ」と雄叫びをあげたという。
「文句を言うなら、民主党の指名争いの選挙に勝ってからにしろ! 俺に勝てる奴なんて、党内のどこにもいないじゃないか」ということだろう。
醜態をさらした81歳の老政治家が、負け惜しみで言いたい放題。この老人に取って代わろうとする中堅が不在の米政界のこの現状は、日本の政界以上に深刻だと言わなければならない。

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