「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

これまた「絶対の知恵者」だった、我らがアニキ「足利尊氏さん」!

2014年08月25日 | 夜の日本学


一人の髪の毛の長い背の高い細身の女性が机に座り、ノートパソコンを叩いています。

彼女の名はレイカ(31)・・・とある雑誌の取材記者です。

「えー、それでは、タケルさん、夜の日本学「先人考察編」・・・お願いします。今日は誰について語ってくれるんですか?」

と、レイカはノートパソコンを叩きながら、赤縁のメガネを手で直し、こちらを見つめます。

「うん。そうだな・・・今日は室町幕府の創始者「足利尊氏」をとりあげてみようか」

と、タケルは話し始めます・・・。


さて、今日の「夜の日本学」はじまり、はじまりー・・・・。


「その人物がどんな人物なのか考察する際には、その人物の肉声をまず聞くことが大事なんだけど・・・尊氏は合戦に対して」

「「合戦で負ければそれでお終いなのだから、敵が近づいてきたら自害する時機だけを教えてくれればよい」と言葉にしているんだよね・・・」

「しかも、ピンチに陥ると彼はニヤリと笑顔を見せた・・・と言うんだから、危機を危機と感じる事なく、危機を楽しむ余裕のある人物なんだよね・・・」

「つまり、要はこれ、尊氏さんは、若い頃からいろいろなネガティブな状況を経験し、それをすべてポジティブに変えてきたからこそ、人間性が馬鹿デカくなり」

「もちろん、合戦も幾度も経験し、ネガティブからポジティブに変え、数多く勝利してきた結果、少々のネガティブには一切、うろたえず」

「笑みさえ浮かべられる人物・・・人間性のデカイ、オトコマエなアニキが出来上がった・・・そういう話らしいんだ」

と、タケルは言葉にする。

「彼と実際親しかった夢窓疎石さんは「尊氏には「戦場での勇猛さ」「敵方への寛容さ」「部下への気前の良さ」という3つの徳があった」と記していますし」

「余程、人間性がデカく・・・腹の座った人物だったんでしょうねー」

と、レイカ。

「ま、アニキだよね・・・こういう男の為なら日本人は喜んで死んでいくよ・・・」

と、タケル。

「「戦場で勇猛になれる」・・・と言うのは、やはり、自分の武芸にも自信もあり、実際、強い武家の人間だったと言うことでしょうね」

と、レイカ。

「自分の武器がなんであるかわかっていて、その威力が他を圧する勢いを示すことを知っている人間こそ、勇猛になれる・・・幾多の戦いで戦将を務めた尊氏は」

「それこそ、合戦のプロ化していたんだろう。まあ、戦いの世界では、戦いに勝てば勝つほど、勝ち方を知るからね・・・その知恵を掴んでいた人物に違いないな」

と、タケル。

「武芸に熟達し、勝ち方の知恵を知っている合戦のプロ・・・それこそが足利尊氏の基本的なあり方なんでしょうか?」

と、レイカ。

「いや、結局、室町幕府の成立と彼が死ぬまで・・・京の都は戦乱に明け暮れた・・・僕は歴代の幕府創始者の中で、徳川家康以上に政治的に動いた武将だと考えている」

「なにしろ、あの手この手で南北朝のあの時代の政治をやっているからね・・・尊氏は」

と、タケル。

「確かに・・・時に南朝を手を握ったりもしていますからね、尊氏は・・・」

と、レイカ。

「途中、北朝が消滅し、足利政権の正当性が失われていたりもするから・・・弟の足利直義が敵になったりもするからね・・・尊氏は苦労しただろうね・・・」

と、タケル。

「では、尊氏は弟の直義以上に政治家だったと?」

と、レイカ。

「僕はそう見るね・・・実際、直義派だった武将が大挙、尊氏派に寝返ったりもしている・・・北条泰時を理想とする直義は、そう言いながら現実が見えていない」

「・・・それに対して尊氏は現実の見えている皆のアニキ・・・的な政治家だったんだろう」

と、タケル。

「現実が見えているからこそ、理想など掲げなかった尊氏・・・そういう事でしょうか」

と、レイカ。

「そう思うね・・・もちろん、彼は和歌も連歌も得意だったし、絵も残っているそうだから・・・芸術家肌でもあった・・・一種の美学を持つオトコだったんだろう」

と、タケル。

「人間性がデカくて、現実がよく見えている、気前のいいアニキ・・・もちろん、美学も持っている・・・って、タケルさんそっくりじゃないですか!」

と、レイカ。

「なるほど・・・そう言われると、さすがに嬉しいね。僕は足利尊氏さんが好きだからね・・・直義は「知識者」の「俺偉い病」の匂いがするし」

と、タケルは言葉にした。


「さて、まず、鎌倉幕府の滅亡から見ていこう・・・幕府が滅亡したのは、遠因として幕府が元寇の恩賞を御家人に正統に渡せなかった事がまずある」

「さらに言えば、その直接原因は、幕府に不満を抱いた御家人が全国規模でいたと言うことだけど・・・所領を失った御家人が続出し、逆にその所領を手に入れ」

「成り上がる悪党も顕在化し・・・幕府は徳政をするんだけど、これが貸金業者の幕府不信を呼び、いわゆる御家人への貸し渋りが起こる・・・」

「これが余計、御家人を苦しめることになり、貨幣経済へ順応できなかった幕府は、高圧的に御家人や悪党、貸金業者などに当たるようになったんだね」

と、タケル。

「それって北条幕府が「俺偉い病」化した・・・と言うことですか?」

と、レイカ。

「そういう事・・・「俺偉い病」はふしあわせスパイラルだから・・・本来なら「関係性を切るのがベター」という運用になるけど、北条幕府って要は日本政府だからね」

「「知識者」の「俺偉い病」の徳川慶喜が将軍になった途端、幕府が吹き飛んだ状況とまるで同じ・・・日本政府が「俺偉い病」化すると」

「幕府は吹き飛ぶんだ・・・全国のサムライが立ち上がって、その「俺偉い病」化した日本政府を吹き飛ばしちゃうからね・・・」

と、タケル。

「その引き金となるのが・・・幕府軍として伯耆船上山にて挙兵した後醍醐天皇を討伐に行った尊氏が逆に倒幕を志し、六波羅探題を滅ぼす行動ですね」

と、レイカ。

「尊氏は源氏の名門・・・だから、彼は武門の棟梁の意識が若い頃からあったのだろう・・・実際、彼を慕う武家は多かったに違いない」

「・・・であれば「俺偉い病」と化した幕府のひどさを報告する武家も多かったに違いない・・・となれば「平家討つべし」と心変わりするのも」

「源氏の名門の尊氏ならでは・・・もちろん、政治を見る目は優れている彼だから、「動くなら今!」と敏感に感づいたのさ」

と、タケル。

「平家幕府を倒して自ら源氏幕府を作り直す好機・・・その為のパスポートとして後醍醐天皇の挙兵を利用する・・・そこまで見切っていたんでしょうか?尊氏は」

と、レイカ。

「自分の目的の為には、利用出来るモノをとことん利用するのが、勝てる政治家の真の姿だ・・・それに尊氏は後醍醐天皇と実際に会って話している」

「後醍醐天皇が単に自分の子供達に天皇家を継がせたいと言う、単なる私利私欲の為に幕府を倒す気だった事は知り抜いていたはずだ」

「もちろん、後醍醐天皇が政治家個人の資質としても、それほど優れていないことも尊氏には見えていたろう・・・だって、自分と比べりゃいいわけだから・・・」

と、タケル。

「尊氏は先が見通せたのに対して・・・後醍醐天皇は先が見通せないと、わかったと言うことですか?」

と、レイカ。

「後醍醐天皇には、過去天皇だった、と言う価値しかない。政治家としての個人的資質は恐ろしいほど低い・・・だって、嘘つきだぜ、このおっさん」

「しかも、私利私欲の塊で、大義名分が全くない・・・恐ろしい程ダメなオトコなんだよ・・・鎌倉幕府を倒す名目にはなったけど」

「あとは日本文化的に全く使い道のないダメ人間なんだ・・・このおっさん・・・」

と、タケル。

「戦に勝利出来るのは、この日本においては、大義名分があることと主将が「知恵者」であること・・・でしたね、タケルさん」

と、レイカ。

「そういうこと・・・だから、鎌倉幕府を倒す大義名分はあったんだ・・・鎌倉幕府は「俺偉い病」化したから、日本人の敵になったんだからね」

と、タケル。

「しかし、後醍醐天皇には大義名分も、その陣営に尊氏を超える「知恵者」もいなかった・・・それでは後醍醐天皇と尊氏が戦いになった場合は」

「もちろん、大義名分を持ち、知恵者「尊氏」のいる尊氏陣営が勝つ道理ですね」

と、レイカ。

「そ。尊氏の大義名分は、武家の為の日本政府を新たに作る・・・足利幕府の創設だからね・・・建武の新政が恩賞は不公平だわ、公家に厚く、武家に冷たいだわ」

「要は後醍醐天皇わがまま政権だったのが、その本質だからね・・・幕府を倒した御家人達は、早速そっぽを向いたんだ」

と、タケル。

「その状況を敏感に察した尊氏は・・・直義を助ける為に鎌倉に東下し、戦に勝つも・・・後醍醐天皇に背いた事に気落ちして寺に入り出家を企てる」

「・・・しかし、足利軍を討ちに来た新田義貞軍を向かい撃った直義軍がまたも負けると、尊氏が援軍に駆けつけこれまた新田義貞軍に勝利する尊氏となるわけですね」

と、レイカ。

「とにかく、尊氏は「戦場での勇猛さ」「敵方への寛容さ」「部下への気前の良さ」があったから・・・敵もいいところで引いたりしてたんだろうね」

と、タケル。

「尊氏だけは討てない・・・そういう意識が敵側にもあったと言うことですか?」

と、レイカ。

「だって、次の幕府が出来たら、絶対にこのオトコが将軍やるしかないだろうってみーんな思っているようなオトコだぜ。殺すわけにはいかないし」

「殺しちゃったら、他の武家から袋叩きだろう・・・尊氏はその状況すら、利用したんだよ・・・だから、足利尊氏率いる足利軍は強くなるわけ」

と、タケル。

「この日本は昔から農民主権だった・・・それは以前話した通りだ・・・だから、武家主権でもあるわけ。武家は元農民だからね」

「だから、日本政府を作るのは、この時代、武家だから・・・そこには御家人も入るし、悪党も入る・・・」

「悪党の親玉である楠木正成が後醍醐天皇に「新田義貞と手を切り、足利尊氏と手を組むべきです」と言ったのは、武家が足利幕府を望んでいて」

「将軍として、尊氏を推していた事を楠木正成が知っていたからだよ・・・」

と、タケル。

「なるほど・・・尊氏に足利幕府さえ、開かせておけば、天皇の系統などは、尊氏がどうにかしてくれる・・・あるいは口を一切出さない」

「・・・そういう約束をすれば、後醍醐天皇の天皇返り咲きも夢じゃなかったんですね?」

と、レイカ。

「そ。そこまで見越していたから、何の価値も無い新田義貞より、御家人や悪党にも人気のある尊氏と手を組めと賢い楠木正成は言ったのさ」

と、タケル。

「しかし、実際は、新田義貞を切れず、足利尊氏と敵対し・・・先の見えない後醍醐天皇は、結局、都落ちし、南朝と称するしかなかったんですね」

と、レイカ。

「足利尊氏のすごい所は、当時の後醍醐天皇軍にやられて九州に落ちたのに、勢いを盛り返して逆上陸してくるところなんだよね」

と、タケル。

「なぜ、尊氏には、それが出来たのでしょう?」

と、レイカ。

「もちろん、彼が次期、足利幕府の将軍候補だと言うことが全国の御家人と悪党に知れ渡っていたからだよ」

「彼らは足利幕府創設を尊氏に望んでいたんだ・・・氏素性の無い新田義貞とは、雲泥の差だよ」

と、タケル。

「さらに言えば、当時の後醍醐天皇率いる朝廷は、御家人と悪党の敵と見られていた・・・だから、尊氏は盛返すことが出来たんだ」

と、タケル。

「なるほど・・・先の見えない政治的能力の稚拙な後醍醐天皇と政治能力抜群にして血統も良い尊氏とでは、雲泥の差の結果が出るのも当然だったんですね」

と、レイカ。

「まあ、その後、なんだかんだあるけど、合戦に強く、血統も超良血、そして政治能力抜群の尊氏が勝利を納めるんだね」

「「戦場での勇猛さ」「敵方への寛容さ」「部下への気前の良さ」があり、人間性も超デカイ、超一流の美学を持った、頼りがいのあるアニキ・・・」

「そりゃあ、勝ちを納めるのも当然だろうね・・・」

と、タケル。

「要は尊氏も「絶対の知恵者」・・・そういうことなんですね」

と、レイカ。

「そういうこと・・・「絶対の知恵者」こそ、「時代の覇者」になるのさ」

と、タケルは笑顔で言った。


「さて、んじゃ、レイカちゃん、今日も飲みに行こうか」

と、タケルは言葉にする。

「はい、どこまでもお供します」

と、レイカは言うと、赤縁のメガネを取り、髪を解いた。


(おしまい)


同じ日本文化と言うこともあって、日本の歴史には、同じような人物が現れますね。

というか、幕府を創設するのは、皆、「絶対の知恵者」で、幕府をつぶすのが高圧的な「俺偉い病」の人間・・・共通しています。

ま、日本人はいつの時代も変わらないと言うことです。


昔からその時代の日本政府を選ぶ、国民主権だったのが、日本の伝統だったんですね。


つまり、天皇主権のいち時代は、日本文化として、歪だったと言うことにもなるんです。はい。


さ、飲みに行きましょうか。月曜日だし!


ではでは。

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