ベネディクト16世とフランシスコの間で交わされるそれぞれの宗教観とそれぞれの人生についての話。
同じカトリック教徒でありながらも、その向き合い方は全く異なるスタイルである二人。
変わることを容認すべきなのか?変わることは妥協なのか?カトリックが直面する各種の問題向き合わねばならない二人の立場は全く違ったスタンスだ。教義を守っていくことでカトリックを守ろうとするのか、信者に寄り添い、信者の言葉を聞くことが自分達の進む道なのか・・・・
ただ、スタイルが違えどもカトリックの在り方を思う気持ちは一緒であり、お互いの違いを認め合いながらも友情を結ぶ事が出来るという自由さを感じさせてくれる。
以前見たローマ法王の休日の印象が強く、枢機卿同士が選挙で教皇を選ぶというコンクラーベはもちろん、ローマ教皇庁の存在そのものが何かパワーゲームそのもののようなイメージを持っていたのだが、この2人の教皇の話にはそんな雰囲気は微塵もなく、別のスタイルで宗教と向き合おうとする二人の生身の男性がいるだけだ。
ABBAのダンシングクイーンで始まり、数々の音楽に彩られた映画は、ベサメムーチョが流れながら軽やかに終わる。もちろんただ二人をチャーミングに描くだけでなく、アルゼンチン出身のフランシスコが独裁政権と向き合わねばならなかった時代の話も、ベネディクト16世が児童性的虐待事件への対応を後悔する姿も描かれる・・・
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フランシスコ(ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿)を演じるジョナサン・プライスがアカデミー主演男優賞にノミネートされた時に見るつもりだったのだが、チャンスがなくずっと先延ばしになってしまっていた。
昨年のクリスマスに見れば、もう少しタイムリーな気分になったかもしれないが、それもタイミングを逸し、結局今になって鑑賞。
*Netflixで視聴。
『2人のローマ教皇』予告編 - Netflix