感情の感じられない検事と誰にでもニュートラルに接する女刑事が、検察と警察の暗い部分を見ながら事件を解決しようとするサスペンス。
検察と警察が別組織である日本では、検事と刑事がペアになるなど考えられない設定だが、韓国検察は操作指揮権、令状請求権、捜査終結権など捜査権限を長い間独占してきていた。ドラマの中で、警察が検察の配下に置かれているように描かれ、検察が捜査に介入したり、検察から捜査を引き取ろうとするのは、そのような背景があるからだ。
そんな権力の綱引きが行われる中で、二人がお互いを尊敬しつつ公平な立場で捜査にあたろうする姿には、忖度は一つも見当たらない。捜査は個人の単独行動では続けることはできない。しかし、権力の内部に入ってしまうと権力内のパワーゲームに押されて捜査が出来ない。数々のジレンマに悩まされながらも、被害者のために犯人を上げる。事件を解決するという思いだけで行動する二人の姿。
矜持を持って自らの仕事にあたろうとする二人の姿には緊張感があり、次々と起こる事件の数々が更にその緊張感を倍増させる。
権力を守ろうとする者も本気だし、捜査に当たる者も本気だ。本気のドラマは見ていて面白い。見ている方も本気になって見るドラマだ。
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検察改革を行おうとした文大統領が検察総長に自ら指名したユン・ソクヨル。しかし彼は「私は組織に忠誠を誓うが人には忠誠を誓わない」と言い、政権に矛先を向けた捜査を行い、文大統領は彼の側近たちを次々と左遷。紆余曲折あり、結局ユン・ソクヨルが停職2か月になる・・・・
韓国大統領と検察総長の騒ぎはまだまだ続いているが、この出来事とドラマを比べてみても面白いと思う。
ドラマの主人公の二人もまさに「私は組織に忠誠を誓うが人には忠誠を誓わない」という思いを胸に捜査にあたっているように見えるのだ。
『秘密の森』予告編 - Netflix [HD]