YUKI

言語、言語で表現できることすべて

Subject 主語

2004-12-23 12:02:29 | Weblog
英語では「主語+述語+目的語」のpatternが最も多用される。
Agent(動作主)+action+objectの概念が、文法の骨組みとして、英語話者の頭脳には、あるのだ。
記号化すれば A→Bのようになる。
English is a language of "word order."
他のヨーロッパ言語と比較して、単語の屈折変化が少ない英語では、「格」すなわち文中の語の役割は、語の位置(語順)が示すことになる。
主格、目的格、同格である。
なお、所有格には屈折変化がある。

語順は、あまりにも当然のことなので、英語話者にとっては、日本人が語順に苦しむ事自体が理解できないようだ・・・

日本語は(A,B)*のように、まず、要素を並べておいて、演算記号としての述語は最後に来るという形が多い。
しかし、「てにをは」などの「助詞」があるため、語順の自由度は、英語と比較して格段に高い。
「てにをは」を知っている、という表現が、マトモな文章が書ける、という意味になるくらいだ。

語順という問題も大きいのだが、それに劣らず、主語の有無という問題も大きい。

和文英訳のコツとして喧伝されているものの一つに、「日本語では省略されている主語を補うこと」がある。
が、そもそも、日本語では主語が省略されているのではなく、主語という概念そのものがないのだという説がある。
「状況独立型」言語であり主語が必須な英語に対して、「状況依存型」である日本語では「状況」すなわち、発話が行われる「場」が支配的なのであって、英語で言う「主語」という概念そのものがないのである、というものだ。

実際、日本語の助詞「は」「が」は、Agentとしての主語を表すものではない。
話題としての「場」を提供しているのだ。
「像は鼻が長い」という有名な例文があるが、その英訳は次の通りであろう。
An elephant's nose is long.
「ウナ丼」を注文するために叫ぶ「僕はウナギだ。」という日本文では、「食堂」という「場」が必須の情報として、埋め込まれている(状況依存)と考えざるを得ない。

確かに、「は」は「特定の話題提供の場を創り出す機能を受け持つのであり」、主語を表すわけではないが、「が」は主語を表すはずだ、と考える向きもあるだろう。
「なにが悲しくて、泣いているの?」
この文の「なにが」は主語だろうか?

日本文に「埋め込まれた」状況を想像し、Agent, action, objectのpatternに当てはめる。
これが無意識にできるようになると、かなり、英語モードに近いのではないだろうか?
つまり、いわゆる「無生物」主語が使いこなせれば、英語に堪能といえるのである。
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