YUKI

言語、言語で表現できることすべて

グローバリズムをめぐる冒険…東京大学vs文部科学省

2016-05-21 22:34:50 | Weblog
いわゆるグローバリズム対応とやらで、
文部科学省は大学改革とやらに躍起となっているわけだが…

日本では、大学改革=入試改革で、
今回はアクティブ・ラーニングとやらが
セットになっている。

まぁ、そんなことはど~でもいい。

今春の東大入試、国語で「内田樹」の著作が出された。
更には「東大新聞」二面にわたるインタビューまで掲載された。

これは、東大教授および東大生からのメッセージである。

どんなメッセージかって?
もちろん、アンチ文科省に決まっている。

内田樹の憲法九条関連に関する言動が
私には過激に見えて、ちょっと距離を置くことにしていたが

グローバリズムに関する意見には同意である。

つまり、グローバリズムとはアメリカニズムというより
多国籍企業のエゴである、ということだ。

「世界の地の果てまで逝って死んで来い!」
という命令に従う、若者を企業戦士にしたてるための
反知性主義なのである。

その証拠に、OECD(経済協力開発機構)が提唱するPISA型能力は
企業戦士から聞き出した企業戦士に必要な能力なのだ。

当のOECDでさえ、真に21世紀的な能力を
新たに模索している最中であることを知ってか知らずか
文部科学省は企業戦士養成=PISA型能力を問う問題対策を
地方自治体および大学に強要している。

嫌なら、金はやらない!ということだ。

内田樹は、この辺の事情を見透かして、
若者を不幸にするグローバリズムと喧伝している。

人が人として生きるために何が必要か?

内田は、彼なりに真摯に思考・行動しているのは確かなことだ。

まぁ、文部科学省の役人もバカではないので、
例の「ゆとり騒動」同様に、
ひそかに既に次の一手も用意しているはずなのだが…

地方、特に金のない地方は、そうはいかない。
かくして、中央集権体制が強化されているわけである。

東大だって、グローバル対応の企業戦士養成をしている。
文部科学省とは正反対で、リベラルアーツを叩き込むことによって。

文部科学省には内緒で、つまり、金をもらわずに
自前でというか受益者負担でやっているのである。

半年程度のカリキュラムで
東大トップ5%ほどの教授が出す課題図書を読んだうえで
教授たちと議論するというものである。

受講料は600万円!
これが大人気で満杯だそうだ。

英語による講義・英語で書かれた資料理解が出来て
企業のリーダーまたはリーダー候補であることが条件だ。

60万円なら、私も受講したいけどねぇ…

さて、内田樹という人物の著作は
多国籍企業と人工知能が支配するであろう21世紀の地球で
人が人として生きるということ、そのために必要な事を探るためには
必読書となるであろうが…

それを出題し、若者に紹介できる大学が
どれだけあるか、興味深いところではある。

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