大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

防護ネットにかかったニホンジカ

2014年03月14日 | 動物

毎夜、山から下りてきて、里地で食べ物をあさっていたニホンジカの食料は、いよいよ里にもなくなってきました。家の周りに残っている植物はヒガンバナの葉とスイセンの芽、フクジュソウだけです。生垣の樹木、庭木もシカの届く範囲は丸裸、こんなものまでと、かつては手をつけなかったものがことごとくシカに食べ尽くされている実態です。

増えすぎたニホンジカの食害を防ぐには、防護ネットや電気柵等で、囲いを作って保護していますが、先日、防護ネットをくぐって植樹木や下草を食べようとしたシカが、ネットに角が絡まり、暴れていました。

朝の散歩中に、犬のヤマトの猛々しい吠え方で気づきました。

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ここは、2年前に綾里小の5年生がナナカマドやコブシ、桜を植樹したところで、植樹苗を食べられないようにシカ防護ネットで囲っていました。そこに入ろうとしたオスジカの角がネットに引っかかって必死で外そうとしていました。

ネットを支えていた杭は倒れ、張り巡らした網はぐるぐるに巻きになって、丈夫な綱(つな)に変身していました。

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助けを求めている表情ですが、どうにも手助けできません。

柴犬のヤマトは、猟犬の闘士がみなぎったのか、険しい形相でシカに突進、一瞬手綱を離してしまいました。するとヤマトは、果敢にシカに立ち向かい、前足を「ガブリ」と噛んで攻撃するではありませんか。その勇ましさに呆気にとられながら、ヤマトが怪我でもしたら大変と急いで綱を拾いました。その後もヤマトの興奮は冷めず、なかなかこの場から離れようとしなかったのですが、家に戻り「よく頑張ったね。いい子だったね。」と大好きなビスケットをあげましたが、やはり気になるようでしばらく山中を見つめていました。

毎年角を落とすオスジカ、こんな時こそ角を抜き落として逃げられるのではと思いましたが、生え変わったばかりの角なのでしょうか?それともオスジカのシンボルとも言える角を命をかけても守るつもりなのでしょうか?午後になっても状況は変わらずシカは、市の鳥獣駆除科から派遣されたハンターによって、処分されました。

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唯一緑が残っていたシカ柵内の様子。

シカ柵で囲っていたところは、ミヤコザサが青々としていますが、周りの下草のほとんどは鹿に食べつくされ赤裸、里山は、今、シカの食痕と、糞でいっぱいです。

ハンターが高齢化して狩猟する人が減ったことに加えて、植物を食して生きているシカの肉のセシウム含有量が高く食肉として利用できないため、増えすぎたシカへの適切な対応が出来ていない現状です。

植生が変わり、自然の生態系がことごとく崩れていくことが懸念されます。