ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

学びの場、という原点に

2017-02-24 07:31:27 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「原点を」2月10日
 PTAについて、3者が論じる特集記事が組まれました。その中で公益社団法人日本PTA全国協議会会長寺本充氏が述べている内容に注目させられました。寺本氏は、『PTAは元々、子ども同様、大人にも学びの場が必要だということで作られた社会教育団体だ』とおっしゃっています。
 その通りです。PTAは、戦後、米国の占領教育政策の一環として作られたもので、その趣旨は、寺本氏の指摘通りなのです。全国のPTAを束ねる立場の方として、当然の理解です。しかし、その後寺本氏は、『運動会やお祭りなど地域の行事に準備段階から携わることもでき』『知り合いが増え、学校の情報も入ってくる』などと、PTA活動の利点について述べています。こうした事項は、学びの成果だといえるでしょうか。私にはそうは思えません。知り合いを増やすことは、それ自体当人を向上させたり成長させたりすることにはつながりませんし、PTAに加入しないと学校の情報が得にくいのであれば、それは学校が主体的に改善すべきことです。準備段階から携わることも、多くの場合、学ぶという概念とは合致しません。もちろん、何らかの経験をするわけですから、それなりに得るものはあるでしょうが、それならば別の経験でも得るものはあるのですから、わざわざPTAに加わることはありません。
 つまり、同じ年頃、成長段階にある子供の保護者という共通点をもつ成人が、故人ではなく組織を構成することによって体験することができる学びを準備するのでなければ、本来の趣旨とは異なってしまうのです。では、どのような活動が考えられるかといえば、学習指導要領の改訂で我が子の学校生活はどのように変化するのか、というテーマで、講師を呼んで話を聞き、それを基にいくつかの疑問別に小グループを作り、半年間の期間と予算を与えて調査研究を行い、発表会でその成果を共有し合うというのはどうでしょうか。
 それ以外にも、子供の権利条約について、今話題の「アドラー心理学」と子育ての考え方について、発達障害・子供のLGBT・小児成人病・家庭での性教育などの課題別研究など会員の問題意識に応じたグループ学習などもニーズが高いでしょう。いずれも、小中高などの子供をもつ保護者ならではの関心事項です。
 一般的な規模の小学校なら、PTA会員は700人。月200円の会費を取っても、年間150万円以上の予算を確保できます。自治体からの補助金も加えればさらに充実します。個人では呼べない講師もPTAという組織でなら招聘できます。予算面だけでなく、PTAや学校からの依頼となると、専門家を呼びやすいですし、企業などが依頼するケースに比べて少ない謝礼できていただける場合が多いものです。
 こうした学びの場であれば、参加者は増えるはずです。今、多くの保護者は様々な情報の中で、どの情報が石でどの情報が玉か分からずに右往左往しているのですから、需要は多いはずです。原点に立ち返るときなのです。

 

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