「教えられるの」4月1日
生活面に『性楽しんで 百貨店にグッズ』という見出しの記事が掲載されました。『有楽町の「阪急メンズ東京」に、大手アダルトグッズメーカー「TENGA」の常設店がオープンした』ことを報じる記事です。『店内には、男性とカップル向けの自慰行為用アダルトグッズなど143種類のアイテムがポップに展示されている』というのです。百貨店側の会議では、『若者の当たり前を取り入れようとするなら、性も関心事でカルチャーの一つ』という考え方が支持されたということです。
そうか、時代はそうなっていたのか、というのが正直な感想です。メディアでは、最近の若者について、異性との交際や性行動について興味の薄い草食化やその進化形としての絶食化などが指摘されていますが、今回の特集記事で、そうでもないのだと安心させられたのも事実ですが、不安を感じてしまう自分がいるのも事実です。
それは、学校における性教育の内容についてです。昔の性教育は、いわゆる純潔教育でした。私はその時代に郷愁を覚えますが、今はそんな時代ではないことは百も承知しています。そして、射精や排卵、性交などについてきちんと教えるという時代を迎えます。今でも、反対意見はありますが、世間の大勢はこれを認めています。現時点では、中高生でも性交をすることはあり得るという前提で、望まない妊娠を避けるためにピルやコンドームの使用について扱うことについて、守旧派と改革派で対立が残っているという状況でしょうか。
ここまでは、「性」をある種の「美しいもの」視していると言えます。たとえ高校生であっても、愛し合う者同士(同性異性を問わず)が性的な関係を持つことは基本的な人権、性の自己決定権によって認められるべき、という思想に基づいているのです。しかし、TENGAのビジョンは『性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく』です。極言すれば、「娯楽としての性」です。この発想に、学校の性教育はついていけるのか、あるいはついていくべきなのか、というのが私の不安です。
自慰行為は思春期以降にほとんどの人が経験しているでしょう。私も高校生のとき、同性の同級生と何歳から始めたか、というような会話で盛り上がった記憶があります。しかしそれは、日陰の話でした。親や教員とそんな話をしたことは一度もありません。当然ですよね。でも、「表通り」の存在になるということは、教員と子供が自慰について明るく語る、というようなイメージに近づくことです。そんなことが可能でしょうか。望ましいのでしょうか。授業でTENGA製品の使い方を教えるなんて、できませんよね。
少し過剰に反応してしまったことを自省しつつ、現職の教員の本音の感想を聞きたいと思ったことを記しておきたいと思います。
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